モンスター・パニック 「評価 C」
静かな港町で、飼い犬ばかりが殺されるという奇怪な事件が発生した。現場には見た事も無いような奇妙な物質だけが転がっており、犯人を探そうにも見当がつかない状態だった。そのため事件はすぐに人々の頭から忘れ去られ、犬の死体が転がっていた浜辺にもイチャつくカップル達が出没するようになった。ところがある一組のカップルが他のカップル同様にイチャついていたところ、突如醜悪な怪物が現れて男を惨殺したのである。女は悲鳴をあげて逃げ出すが、すぐに怪物に体を抑えられ、子供を孕まされてしまった。実はしばらく前、科学技術によって巨大化したサケを積んでいた船が近くの海で事故に遭い、大量の巨大サケが海に放たれていた。科学技術で巨大化したサケは周囲の環境に変化を及ぼし、その影響で生まれたのがこの怪物、半魚人だったのである。半魚人は既に相当な数が誕生しており、港町の人間を襲い始めた。
本作、話の方はボロボロと言っても良い。前半部分で缶詰工場の設立を巡って多くの登場人物を出しておきながら、賛成派と反対派の争いは大した進展も見せずにクライマックスの大乱闘に突入する。このクライマックスで増えすぎた登場人物の整理でも行うのかと思えば全然そんなことは無く、次第に誰が生きていて誰が死んだのかよく分からないような状態に突入していき、最終的に登場人物の安否は台詞による説明だけで流されてしまうのである。結局話は全然収拾がついておらず、この点では決して評価できるものとは言えない。
ただ本作、全編に渡ってロジャー・コーマン流のサービス精神に満ち溢れており、過剰なまでのエログロが実に爽快だったりする。特に本作の半魚人は、脳味噌を剥き出しにしたような醜悪なデザインが古典的で素晴らしい上、浜辺でカップルを見つけたら男を惨殺して女を孕ませるというエロ根性炸裂なモンスターなのだ。半魚人が大群で現れた時も全員行動パターンが同じなので女の半魚人はいないのかと疑問に思ったりもするが、この欲望全開ぶりは半魚人に妙な生々しさを与えており、低俗ならではのリアリティを垣間見せてくれたのである。
ところで本作のクライマックスは、町祭りの会場に半魚人の大群が押し寄せてくるという物で、これ自体は全然目新しくはない。しかし本作の祭は、たかが小さな港町の町おこしだというのに会場には観覧車やメリーゴーランドまで設置されており、気合の入れこみ具合では他の映画の追随を許さない程のものが感じられた。
ちなみに、本作は舞台が港町なので、催されるのは「サケ祭り」である。よって町一番の美女に送られている称号は「ミス・サーモン」という、「ヴィシャス」のミス・アップルなどに比べたら恥ずかしい以外の何物でもないような代物になっていた。
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