モスキート 「評価 D」
宇宙空間。一機のUFOが操縦不能に陥り、地球めがけて墜落していった。UFOはアメリカの沼地へと落下し、乗っていた宇宙人は衝撃に耐えられずに死んでしまった。ところがその時、UFOの中に一匹の蚊が舞い込んだ。宇宙人の血を吸った蚊は見る見るうちに巨大化し、周辺の森で繁殖を始める。
本作は、とにかく登場人物達の行動が理解に苦しむ映画である。主人公達が森林公園の管理所を訪れると、そこは何者かによって酷く荒らされており、干からびた所員の死体が転がっていた。それを見た主人公は早くここを立ち去ろうと他の者達に告げるのだが、彼らは「逃げるのは臆病者だ」と言い、公園を調べ回って犯人と対決しようとするのである。死体の様子からしても、明らかに犯人は未知の敵だ。よってどう考えても主人公の方が賢明な判断をしているのに、彼は臆病者という言葉に促され、他の連中に付いていくことを決めてしまう。確かに主人公の言う通りにすぐ帰ってしまっては話が続かないんだが、主人公達を公園に留めておくにしては、あまりにも説得力に欠ける展開で呆れずにはいれないのだ。
おまけに冒頭で物凄く作り込まれた特撮を見せていたUFOの存在が途中からすっかり忘れ去られたり、話の都合で蚊の大群が一瞬で姿を消したりと、とにかく脚本の出来が散々なのである。
ただ本作、血を吸われる人間が干からびていくカットとか、妙に細かい部分がやたらと作りこまれており、製作者の拘りが感じられたりする。巨大蚊も一枚絵を揺らしただけの飛行シーンを除けばストップモーションと人形合成とを上手く組み合わせており、迫力を出すことに成功している。脚本の方はあまり感心できるものではなかったが、見せ場に対する製作者の心意気だけは評価できる映画だった。
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