モンスター・クロコダイル 聖なる生贄 「評価 C」
オーストラリアで密猟者達が一匹のワニに襲われた。早速ワニの退治に乗り出そうとする自然保護局だったが、実はそのワニは「ナムンワリ」という名の、アボリジニ達に神として崇められている神聖な動物だったのだ。保護局員の主人公は初めは局の意向に従ってナムンワリを退治しようとしたが、その神秘性に触れていくうちに考えを改め、ナムンワリを故郷である石の国に戻そうとするように。しかしナムンワリに仲間を殺されたハンターが、復讐のために動き出したのであった。
大半のモンスターパニック映画に登場し、観客からウザがられた挙句に殺されるという黄金パターンが成立している「貴重な動物だから退治しないで保護しよう」と主張する奴。ファミリー向け映画などでは彼等が主役になることも多いが、本作のようにお世辞にもファミリー向けとは言い難い作品で、この役割の人物が主役になるのは珍しいと言えるのではないだろうか。ナムンワリを元の棲家に帰そうとする主人公達と、仲間の仇討ちに燃える密猟者連中。この普通のモンスター映画とは真逆の構図が、本作の注目すべき点である(本作に似た構図の映画に「ワイルドグリズリー」もあるが、あまりにも観客に納得のいかない展開をする「ワイルド〜」に比べると本作はまだ殺された人間の大半が阿呆な密猟者な分、ワニに感情移入できるようになっているのが良い)。
しかし本作、舞台設定は良いのだが肝心のナムンワリの魅力が無きに等しいのが残念だ。「300年も生きている賢者」という設定のナムンワリだが、する事と言えば水に潜んで密猟者達を襲う程度で、他の映画のワニと比べても特に頭の良い行動を見せるような描写が無い。映画のプロット上、主人公達が救わなくてはならないのだからあまり強くても困りものだが、ワニ映画らしいところも見せてもらいたかった。
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