メル・ブルックスのサイレント・ムービー 「評価 B」
この映画はタイトルを見れば分かるように、偉大なオマージュコメディアンの1人「メル・ブルックス」が主演した映画シリーズの1本である。しかも、カラー作品には珍しいサイレント・ドタバタ映画。もちろん、登場人物には台詞が無いし、唯一喋るマルセル・マルソー(なんと、本物がパントマイム衣装で登場する!)でさえ、「NO!」と言うだけだ(誰も喋らない映画で、普段は全く喋らないパントマイム役者だけが喋る)。「NO!」という台詞が出る時点で、もはやサイレントでは無いのだが、要するに本作は、昔のサイレント・ドタバタ映画をパロディにした作品なのである。
長い間酒浸りの生活を送っていた、映画監督と2人の仲間達は、映画界復帰をかけて一本のサイレントの原案を小さな映画会社に持ち込んだ映画(なんと、サイレント映画を作るサイレント映画なのだ)。だが、その会社は財閥に乗っ取られる寸前のボロ会社で、売れる見込みの無いサイレント映画なんて作れないと言って、その原案を突き返したのだ。ところが、映画監督が「だったら売れるように、豪華スターが出るサイレント映画を作ろう!」と言ったので、会社の社長も全面協力する事になったのである。
そこで3人の仲間達は、バート・レイノルズ、ジェームズ・カーン、ライザ・ミネリ、アン・バンクロフト、ポール・ニューマンら豪華スター(全部、本人が出演していたから驚いた!)の説得に成功し、映画の製作に取り掛かろうとしたのだが、そこには、財閥の妨害工作が待ち受けていた・・・・という内容で、映画の雰因気はまさにチャップリンやキートンが活躍していた、サイレント時代のドタバタを彷彿とさせるものである。しかもそれだけでは無く、映画の中で上映される映画「女王陛下のライフル部隊」は、モンティ・パイソンの流れを受けたような凄まじい内容で、ドタバタ・コメディとブラック・ユーモアが見事に調和しているのだ。
この映画、オープニングからラストの星条旗を持った行進まで、本当に目が離せない(もし目を離したら、サイレント映画なので話の筋が全く分からなくなってしまうからだ)。バスター・キートンあたりのファンならば、ぜひ見ておきたい映画である。
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