ホラー喰っちまったダ! 「評価 B」
建設現場で働いている中年、ドナルドには或る不満があった。器量の悪い妻が電子レンジを購入してからというもの料理に凝り始め、毎晩食卓に見たことも無いようなフランス料理を出すようになったのだ。知らない料理を食べ続けることに苦痛に感じているドナルド。「偶には普通の料理が食べたい」と要求しても、妻は「人の趣味に口出しするな」と言って聞かなかった。やがてドナルドはストレスが溜まっていき、ある酒に酔った晩、遂に妻を電子レンジに入れて惨殺してしまった。翌朝、素面に戻ったドナルドは事の重大性に気づき、取り敢えず妻の死体をバラバラにして冷蔵庫の中に隠すことにした。この作業を終え、小腹が空いたドナルド。妻の料理と思しき肉の燻製を見つけると、すかさず齧り付く。元々味を期待していなかったドナルドだが、それは意外にも美味だった。「あいつもやれば出来るんじゃないか」と、ドナルドは妻の料理の腕を見直した。とその時、ふと自分が食べている物に目をやる。すると大変なことに、これが文字通り妻の腕だったのである。ドナルドは仰天したものの、同時に人肉の美味しさを知ってしまった。それからというもの彼は、街で女を引っ掛けてはバラバラ死体にして電子レンジで調理する…という日々を送っていた。電子レンジが彼の心臓ペースメーカーに悪影響を与えているのも知らずに…。
何とも頭の痛くなる邦題が付けられている本作。だが一度映画を見ると、この邦題が如何に映画の内容を心得ている理想的なものだったかが分かるだろう。そう、この映画はカニバリズムを扱っていながらも全編脳天気なムードに満ちた内容だったのだ。ドナルドが女を惨殺していく様子は過激な描写を抑えている上、彼自身が妻から解放された喜びに溢れているので全く陰湿さを感じさせない。それどころか、仕事場で同僚と仲良く人肉を分け合っている姿はむしろ爽やかに感じられるのだ。また本作、最後のどんでん返しがアッサリ終わるのは人によって味気なく感じられるかもしれないが、その分本作の明るいテイストをぎりぎりまで堪能できたので個人的には好印象である。カニバリズムが苦手な人にもお勧めできる、良い意味での馬鹿映画だった。
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