ブラッド・バイダー             「評価 B」
若いアベック、クラークとジョリーがモーテルに向けてジープを走らせていた。その途中、タイヤのパンクを直していた際に毒蛇が車の中に入り込み、クラークは左手を噛まれてしまう。幸いにも通りすがりのセールスマン、ハリー・モートンが解毒剤を注射して助けてくれたものの、実はこれはハリーが蛇の種類を見誤ったことによる間違った処方だった。クラーク達と別れた後、その事に気づいたハリーは改めて正しい解毒剤を注射しようと二人を追う。だがその頃、クラークの左手は毒と間違った解毒剤との作用によって蛇に変わりつつあったのである…。
「片手が蛇に変わる」なんて冗談みたいな話を本気で映像化したこの映画。左手の蛇を抑えながら奔走するクラークの姿はまんま東京コミックショウを彷彿とさせて笑えるのだが、作品自体は彼が蛇に侵食されていく様子を哀愁に満ちた視点で描いており、なかなかに見せてくれた。左手の蛇は独自の脳を持っていて、クラークの意思に反して小鳥や人間に食いついていく。例え左手を切り落としても金太郎飴のように新しい頭が切り口から現れ、再び周りの生物を襲い始める。そして映画のクライマックス、完全に体を乗っ取られたクラークは口から何匹もの蛇を吐き出し、挙句に頭蓋骨と脊髄が一匹の蛇となって体から飛び出すのだ。この場面はグロテスクさも然ることながら、クラークがあげる悲しい雄叫びも相俟って、本作が平凡な男を襲った悲劇であることを印象付ける最も重要な部分になっていた。コンセプトの突拍子の無さに反して、意外と堅実な出来の作品である。

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