発光体 「評価 C」
テレビやパソコンのモニターを見ている者が謎の死を遂げるという奇妙な事件が続発した。そこで軍は民間の医者と協力して調査に乗り出したところ、原因は情報通信会社が開発した、多くのチャンネルが見れるチューナーにあることが判明する。今のところテスト期間中として一部の家庭にしか配布されていないこのチューナーには、製作側の陰謀によってある種のウイルスが含まれていた。それは他の拮抗するプログラムを排除するよう設定されており、会社に不利益を起こそうとする者、チューナーの回線を切ろうとする者は強烈な光を浴びせられたり電流を流されたりして抹殺されていたのである。この事実を知った医者らは急いで会社に向かおうとするが、既にチューナーは全米に出回っており、本放送開始まであと数時間というところまで迫っていた…。
「テレビモニターが人を殺す」というシチュエーションが、なんとなく怪奇大作戦第10話を思い出させる本作。一番の見所は、特殊な光を浴びて全身が石灰化した人間が崩れ落ちて行くシーンだろう。顔面や指先がボロボロと崩れていき、水分を奪われた眼球が徐々に萎んでいく。SFサスペンス映画な本作において唯一特撮を使うところなだけはあり、この様子がかなり気合の入ったCGで、過剰にリアルに、そしてグロテスクに描かれているのだ。見せ場に対する凄まじいまでの入れ込み具合が、随分と印象に残る作品である。
だが一方で話の方はと言うと、冒頭から観客に原因が分かるようになっているので謎解きとしての魅力に欠け、原因を暴こうと必死になる主人公達の姿を見ていると興冷めにならざるを得ない。またクライマックスもそれまでの謎解きが嘘だったかのような力技で解決するので、いまいち盛りあがらないまま終わってしまうのだ。映像のインパクトと発想は十分評価できるが、やはり本筋であるはずのサスペンスで魅了してもらいたかった。
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