ハリケーン・コースト             「評価 B」
かつて電力会社のシステムに侵入し、近隣一帯を停電させたことのあるハッカーの少年。現在彼は親からパソコンに触らないようにと厳しく言いつけられていたが、度々親の目を盗んではネットゲームを楽しむ日々を送っていた。彼はある日、謎の人物からの脅迫を受けて、天候を操作する新兵器を開発中の政府機関のシステムに侵入させられる。そして命令のままにプログラムのコピーを作った少年だったが、その時何十台ものパトカーが彼のいる建物を取り囲んでいた。脅迫されているのを口外しないように言われている少年は、プログラムを書き込んだCDを隠して必死に逃げ回る。一方その頃、少年を脅迫していた黒幕はまんまと新兵器の乗っ取りに成功し、アメリカ西海岸に巨大な嵐を発生させていた…。
本作は予告編でやたらと嵐を引き起こす気象兵器のことを強調しているものの、実のところはネットゲームによる仮想現実を舞台としたサイバーSF映画であった。よって嵐による被害を示す場面は殆ど登場せず、正体不明の存在に騙され追い詰められていく少年が何とか反撃の糸口を見つけ出すまでの過程を物語の主軸としている。この攻防は国家権力まで持ち出してくる相手の強大さもあって緊迫した出来になっているものの、元々パニック映画を期待して本作を観た人にはやはり味気無く感じられるかもしれない。
だがそのような人も、クライマックスの二段落ちには痺れるはずである。一旦事件が解決したと思わせておいて実はまだ仮想現実から抜け出ていなかったという、この手の作品の醍醐味とも言うべき展開を直球ど真中で出してくるので、同ジャンルに馴染みのある人も無い人も燃えること請け合いだ。パニック映画とは呼べないものの、少年と黒幕とのバトルが面白い映画であった。

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