バイオ・スキャナーズ 「評価 C」
商店に突如現れた、挙動不審の男。彼は店の売り物である洗剤をがぶ飲みしていくと、車に乗って何処へと消えて行った。だがその直後、彼は喉がパックリと裂けて意識を失い、自動車事故によって死亡したのである。現場に駆けつけた警官らは彼の喉の傷も事故によるものと判断し、単なるヤク中が起こした事故として片付けてしまった。一方その頃、同じ街では町外れの製薬会社が開発した肉体改造サプリメントが人気を呼び、多くの人がそれを飲み、また製薬会社が主催する肉体改造ツアーに参加していた。ところがそのサプリメントを飲んだ者やツアーに参加した家族が、次々と変死するという異常事態が発生した。実は会社を追放された男がサプリメントに欠陥が生じるように仕組んでいたのである。今まさに、街は変死体に溢れた地獄と化していた…。
常に健康でありたいという人々の心を掴んで放さない栄養サプリメント。だが果たして、サプリメントに全面的な信頼を寄せてもよいのであろうか? もし健康をもたらしてくれるはずのサプリメントに欠陥があったら…。というわけで本作は、アメリカに蔓延する健康ブームに警鐘を鳴らす側面を一応持っている(あくまで「一応」です)。
しかし映画の中ではそのようなテーマは殆ど表層に現れず、ただストーリー性皆無な展開と街の人々がグチャドロに変死していくシーンとが交互に繰り返されるだけという、ある意味ビデオパッケージが全てを物語るような出来映えになっていた(本作のビデオパッケージはブルーバックに顔が半壊した男の大写し。店で見かけたら思わず手に取ってしまいそうになる秀逸なデザインだ)。
よって本作、いくら内容が酷くてもそれはビデオパッケージから受ける印象と大して変わらず、パッケージを上品に飾っていたり他の映画の真似をしている同等の作品(「バーサーカー」とか)と比べても観ていてそれほど損した気分にはならないのである。
また本作、薬を飲んだ人がドロドロの溶解人間になっている様子が事細かに描かれており、観客の心にこれでもかと言うほどの不快感を植え付ける。傷口からミミズの如く這い出してくる血管。風船のように膨らんだ挙句に爆発する子宮。極端に肥大化して呼吸を妨げる舌。どの場面もチープ感爆発ながらグロく見せようという気概に溢れており、ビデオを手に取った人の期待に十二分に応えてくれた。
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