ヘルファイアー 「評価 A」
殺人罪で投獄されていた女囚が更正プログラムによって消防士の訓練を受け、実際に森林消防士となって活躍する…。
「ファイアーウォール」「ファイアー・ファイト」と、近年コンスタントにリリースされている山火事映画の決定版と言えるのが本作である。確かにCG丸出しの炎や実際のニュース映像を使い回して描かれている災害描写など、本作には前の二作以上に低予算を物語っていて緊迫感を削がれる点は沢山あるが、それ以上にこの映画は、熱い人間ドラマに溢れていた!(別に山火事だから熱いとかいうギャグをかますつもりはございません)
消防士になるための苛酷な訓練によって、見る見るうちに成長していく主人公。新リーダーとして配属されたチームでの軋轢やプレッシャーとの葛藤、かつての教官との対立、そして別れていた娘との再会など、多少御都合主義な点はあるものの、消防士達のリアルな作業内容も相俟って、同じ消防士映画の「ファイアーウォール」なんかの比じゃないくらい全編に渡って燃える展開を見せ付けてくれる。(別に山火事だから燃えるとか以下略)
また本作は人物描写が非常に巧みで、主人公は勿論のこと、彼女と共に訓練を受けるコソ泥や配属されたチームのメンバー、監視台から山火事の動きを探る老婆に至るまで見事にキャラが立っているのである。低予算という悪条件を、話の作り方で見事に吹き飛ばしてしまった本作。終盤の連続するニュース映像で少しだれるが、近年の山火事映画の中では最も面白い作品だった。
ところで本作、クライマックスの舞台はカリフォルニアの山中なのだが、まさかこの映画が作られた翌年、本当にカリフォルニアを前代未聞の大火災が襲うことになろうとは…。
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