バーサーカー 「評価 C」
カルトホラー。本作をジャンル付けするとなれば、これ以上に相応しい言葉はない。この映画では一般人の理解を超えた壮絶な物語が、終始観客を突き放したような状態で延々と展開されて行く。その様子はまんまトロマ映画からエロ要素を引いたようなもので、観ていてただ唖然とさせられること間違い無いだろう。
冒頭、ある平凡な一家が車に乗って家族旅行をしていた。だが途中で車がパンクしたので、修理屋を呼ぼうと親父が近くのドライブインを訪れる。するとドライブインの店主である婆さんの口車に乗せられて、親父は家族全員を連れて彼女の家で食事を御馳走させてもらうことになった。しかし食事の途中、婆さん達の態度に娘が怒り出すと、いきなり鉄のマスクを被った寡黙な怪人「外科医」が食卓に乱入してきた。外科医はやる気のなさそうな驚き方をしている両親を真っ先に殺すと、体は小さいが皿を投げさせれば天下一品の怪人「プレート」と共に窓から逃げて行った二人の子供を追いかけて行った。やがて二人に追いついた外科医はジョギリのような化け物ナイフで息子を真っ二つにすると、続けて娘の方も殺そうとする。ところがそこへ脳味噌剥き出しな頭がおぞましい怪人「ブレイン」が登場し、娘を気に入ったから一緒に暮らしたいと申し出てきたのだ。こうして娘は怪人一家によって監禁され、食事として人間の指が入ったスープや札束を渡されながら、ドライブインの客が彼らに殺されて行く様子を無気力に眺めるだけの日々を過ごすこととなった…。
と、ここまではまだ常人の理解できる範囲の物語だ。だが本作、ここから「製作者のやってみたかった事を全部映画の中に入れました」的な状態になり、最早常人の域を軽く超えるような摩訶不思議ワールドへと突入して行くのだ。「僕は都会に馴染めない」とブレインが言うと、フルチンのブレインが都会のど真ん中を疾走しているカットが意味もなく挿入される。怪人退治に来たジジイはプレートの首を素手で引き千切ると(!?)、突然プレートの生首でサッカーを始め(これは三池崇史監督作か!?)、蹴り飛ばした生首が道を行く車のフロントガラスに落下して新たな悲鳴が巻き起こる。ブレインの頭が割れるとその空っぽの内側にはアルファベットの書かれた木製ブロックがあり、転がり落ちたブロックは生き物のように這い出したかと思えば、整列してブレインの意思どおりに単語を作り出す。その上、何もすることが出来なかったはずの娘がクライマックスになると急にパワーアップして怪人達をバッタバッタと薙ぎ倒していったりと、中盤以降はストーリー性も糞もあったものじゃない展開の応酬としか言いようが無い。まさにカルトと呼ぶに相応しい作品なのである。
GO TO TOP!!