ホスタイルグラウンド               「評価 C」
点検のため、ニューオリンズの下水道を歩いていた作業員。だが突然周囲が崩落を始め、彼は瓦礫に押し潰されて死亡した。その後警察が現場に向かったところ、そこには半径5メートルほどではあるが、地底深くへと続く穴が開いていた。そこで学者らが原因を調査をしたところ、ニューオリンズの地面は長い間地下水の侵食を受けており、このままでは街全体が地盤沈下で地底深くに沈んでしまうことが発覚した。そしてこの調査結果の通り、街のあちこちで地盤沈下が起こり始める…。
地盤沈下という題材を用いたパニック映画自体は「ジェットローラー・バス」など既に幾つか作られてはいるが、工事による落盤といったものではない、完全な天災による地盤沈下を扱った映画は案外少なかったりする。それだけにまだ未知の可能性が残されており、本作のように斬新なアイデアを盛り込む余地が多く残されている分野であると言えよう。
例えば本作では、街の陥没を防ぐためにある種のゲルを使用する。このゲルは空気に触れると何百倍にも体積を増した後で石のように固まるという代物で、地下にこれを流し込むことで空洞を埋め尽そうというのだ。これだけでもかなり斬新な印象を受けるのだが、その上クライマックスでは、地下でゲルを流し終えた主人公が増大して迫り来るゲルから逃げ回るという「ブロブ」さながらな展開が用意されており、アイデアが十二分に生かされている。本作のクライマックスを見ていると、やはり地盤沈下という未開発のジャンルに可能性を感じずにはいられない。
しかし本作、このクライマックスは良いのだが、そこに至るまでの話は平凡そのものだ。町祭りのパレードを中止するように訴える主人公と利益を最優先に考える者達とのありがちな対立が本作ではごく普通に拝めるし、主人公を追い落とすために地盤沈下の発覚を遅らせようとした男も、すぐ近くにいた作業員の証言によってあっけなく退場してしまう。
地盤沈下というジャンルへの挑戦心は良かったが、もう少し映画そのものにも拘りが欲しかったものである。

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