ヘルボーン 「評価 C」
研修生が働きに来た病院は、犯罪者ばかりを収容した特殊な場所であった。そこでは患者に対する良心というものが存在せず、重傷の患者にも満足な治療が施されていない。そこで患者に対する哀れみを感じた研修生は、重傷患者が収容されている病室の担当を買って出るのだが、彼は患者の口から不審な話を耳にする。ここの院長は悪魔を崇拝しており、患者を生贄として夜な夜な怪しげな儀式を行っていると言うのである。
「ビヨンド・ザ・リミット」「女子高生チェーンソー」と続けて良作をリリースしてきた新生アルバトロス・コアだが、リリース第三弾である本作はそれらに比べると些か構成に難の見られる作品だった。
まず前半の病院に関する説明部分は、医者の監禁という事件を織り込むことによって異常具合が上手く表現されており、なかなか秀逸な出来である。だがその後、病院で働き始めた主人公が次第に病院の秘密を知って行くというくだりになると、既に映画が破綻を始めていた。と言うのも、それまでの説明に時間を割きすぎたおかげでここからクライマックスまでは急展開に継ぐ急展開で進行し、今までの緩慢ながらもおどろおどろしさを含んでいた映画の雰囲気は瞬く間に消し飛んでしまったのだ。
こうなってしまうとあれ程のインパクトを見せ付けてくれた患者たちも、ヒロインが一緒の部屋に放りこまれそうになってピンチに陥るという風に、単なるモンスターか何かと同じ扱いにされる始末。儀式の黒幕の目的と舞台設定とに矛盾がなく、話の筋に関しては文句のないのだが、いかんせんバランスの悪さが鼻についた映画だった。
ちなみに本作には「スパイダーマン、デビルマンに続くクリーチャー!」と予告編で謳われている悪魔が登場する。この悪魔、造型自体はそんなに悪くないのだが、いかんせん冒頭とクライマックスでほんの少し登場するだけでアクションシーンが皆無なので、腰砕けな奴だった。
(そもそも何故スパイダーマン…?)
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