放射能X 「評価 B」
砂漠で保護された物言わぬ少女。すぐ近くにキャンピングカーがあったので、少女はここに住んでいたのだろうと警察は推測するものの、何故か車内に人の姿はなく、また酷く荒らされていた様子だった。果たして少女の家族は何処へ消えたのか。更に少し離れた場所では、商店が何者かに荒らされるという事件が発生する。この二つの事件に関連性を見出そうとする警察だったが、やがて現場の見張りをしていた一人の警官が、全長数メートルにまで巨大化した蟻に襲われた。驚くべきことに核実験の影響で蟻が巨大化し、砂漠で増殖を始めていたのである。
同年公開の「黒い絨毯」と共に、後の昆虫パニックに多大な影響を与えた映画である。本作の蟻は巨大化したと言っても人間サイズであり、ストップモーション撮影の人形アニメではなく着ぐるみを使って撮影されている。おかげで巨大蟻の動きがどうしても制限されてしまった他、蟻の外見がとてもじゃないがリアルとは言い難いものになっているのが本作の欠点といえよう(人型以外の生物を動かすときに人形アニメは強みを発揮する)。
しかしその欠点を補うがために本作には様々な工夫が凝らされており、ちゃんと巨大蟻に迫力を持たせているのだ。動きが鈍重であるのを逆手にとって、柱を薙ぎ倒しながらゆっくりと迫ってくるカットなんかは、工夫による効果を一番感じられる部分である。
蟻の細かい生態説明があったりとちゃんと調べて作っている印象なのにも関わらず巨大蟻の数に比べて被害が少なすぎるなど突っ込み所はあるものの、演出面に関しては非常に良質な映画だった。
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