プロテウス                 「評価 B」
麻薬の取り引きのためにボートに乗って海上を移動していた売人達。ところがトラブルによってボートは炎上し、彼らは海を漂流することとなった。途中、奇妙な水死体を見つけて驚いたりしながら、一行は謎の海上施設を発見する。これで助かったと安堵し、施設の中に入った売人達。だが施設の中にいた人間は何故か侵入者である彼らを怪しまず、奇妙な行動を取りつづけていたのだ。おまけに施設の中には何かの実験器具が割れた水槽と共に並んでおり、明らかに何かの事故が起こったようである。しかし一行はまず助かるのが第一と、無線を探して施設内を歩き回る。そんな彼らを、不死の研究によって誕生した生物「プロテウス」が狙っていた。
さすがに96年にビデオリリースされただけあって、模型丸出しの炎上するヨットや海上施設をごく普通に拝める本作だが、怪物の斬新さにおいては「ジョーズアタック2」のタコザメを凌ぐものがある。本作の怪物であるプロテウスは見た目こそ脳髄の付いた紐状の生物なのだが、これが様々な生物の体内に入りこみ、その生物のDNAを取り込んでいく。そして一度DNAを取り込んだ生物に意のままに変身できる上、場合によっては複数の生物を組み合わせたような姿になれる。こんな設定のためにクライマックスではサメの頭にタコの触手、おまけに鉤状の爪まで付いている上、体内からは吸収された人間の慟哭が轟いているという空前絶後の怪物へと変貌を遂げているのである。
更に吸収された人間が黒い液体になる場面やプロテウスが人間の顔を破って出現するところなど(ある意味「吸血鬼ゴケミドロ」を上回る名シーンだ!)、数々のグロシーンも秀逸な出来で印象深い。
「大量のヘロインを与えればプロテウスを殺せるかもしれない」と博士が言うので御都合主義な展開だなあと思わせておいて、最終的に全く別の方法でプロテウスを退治したりと、意表をついた展開も良い。
主人公の体験談的な始まり方をしているくせに意味深なラストだったのは微妙に人称の不一致を起こしているように感じられたが、それでも本作は非常に面白いモンスターパニック映画だった。

鮫映画一覧へ
GO TO TOP!!