パラダイスウィルス 「評価 C」
中米の島に休暇に来た大学教授とその息子。そこはまさしく都会から離れた楽園で、二人は休暇を満喫できると喜んでいた。だがその頃、恐るべき伝染病に感染していた一匹の鶏が、他の食用鶏と一緒に島へと運ばれてきたのである。この鶏に嘴で突かれた男は、間もなく発病して街中で気を失ってしまった。楽園のはずだった島は、この瞬間から伝染病が蔓延する地獄へと変わっていったのである。
ウイルスパニックモノの一つである本作だが、クライマックスまでの話は割と退屈だ。ウイルスの存在が報道されたことによりパニックに陥った島民が島から逃げ出そうとして沿岸警備隊に止められるところとか、折角手に入れた抗体が暴徒と化した男に奪われるところなど、映画が面白くなりそうな展開が随所に見られるのだが、これらが少しも掘り下げられることはなく、全体として非常に淡白な印象を受けてしまうのである。唯一話に反映されていた治療に非協力的な宗教団体との対立も、結局はなし崩し的に和解が成立してしまい、どうも味気ない。
だが本作、抗体を取り戻し、いよいよ血清を作るという段階に入ってから俄然面白くなる。血清が間に合わなくなる制限時間を設け、時間が経過していくにつれて疲弊していく主人公達の姿を映すことによって上手く緊張感を演出しているのだ。黒バックに残り時間が映し出されるところとか、まるでテレビの科学番組状態の体内描写など、演出に安っぽさは目立つが、このクライマックス部分は評価に値する作品だった。
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