フローズン・インパクト 「評価 C」
数年前、これまで二次災害的な扱いしかされていなかった題材「雷」を主役に据えた映画「ライトニング」がリリースされたが、雷という題材を上手く使いこなすことができず、人間ドラマで持たせていたような印象だった。そして今度は同程度の扱いを受けていた(且つ、雷以上にマイナーな)題材「雹」を主役に据えた本作がリリースされたのだが、結局この映画も「ライトニング」と同じで、題材の恐怖感がそれ程描かれていないという感じだった。
主人公は、街のレスキュー隊長。肝臓移植が必要な息子のドナーが見つかり、後は手術を待つだけと喜んでいたのも束の間、肝臓を輸送していた飛行機が無数の雹の直撃によって墜落してしまった。慌てて肝臓の回収に向かう主人公だったが、雹を降らせた雲は次第に主人公達の街へと近づいていた…。
「直径20cm落下速度時速数100kmで降り注ぐ氷のシャワー」という煽り文の通り、本作では野球ボールよりもでかい無数の雹が、建物や車を無残にも破壊していく。特に雹の重みで家屋が潰れていくシーンは、雹さながらの恐怖を見せ付けていると言えよう。だが本作、そういった建物の破壊に関しては見事なのに、肝心の人間に対する直接的な被害が甘すぎるのである。雹一粒で車のボンネットを凹ませてしまうくらいの破壊力があるというのに、それを受けた人間は酷い流血をすることも無く、せいぜい全身痣だらけになる程度。これではいくら破壊シーンを頑張ったところで現実味が感じられず、結果として雹に対する恐怖感までが薄らいでしまう。パニック映画としてのスリルを際立たせるためにも、建物の崩壊とか肝臓輸送とか二次災害的なものより、もっと雹で負傷する人間に焦点を当てて欲しかったものである。
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