ホットゾーン                  「評価 B」
湾岸戦争当時、アメリカは脅威の遺伝子技術で細菌を植え付けた狂暴な生物兵器の研究を行っていた。ところが軍事スパイの侵入により研究所は爆発。そのまま生物兵器の研究は闇に葬られたかに思われた。
ところが10年後、研究の脅威が意外なところで現れたのである。細菌を植え付けられた蛇はごく僅かながら生存しており、それが田舎町の地下で密かに繁殖し数を増やしていたのだ。そして町を地震が襲ったとき、とうとう蛇達は地上に這い出した。蛇は地上に出るなり町外れの犬を始めとして、ドライブインの店員や作業中の老人などに次々と噛み付き、瞬く間に町中の人間に細菌をばらまいていった。そこで町には謎の病気で死んでいく人間が続出し、その事を不審に思った町医者は別居中の妻である細菌研究者の女性に病気の原因追及を依頼した。そこで彼女は将軍に研究協力を頼んだのだが、なぜか将軍は協力に積極的では無かった。そう、既に軍の上層部ではその病気が10年前開発した生物兵器のものだという事が明らかになっており、かつての兵器の存在を隠すために研究には協力できなかったのである。そんな事は露知らず、彼女は細菌を詳しく調べるために問題の町へと向かう。だがその頃、軍部では生物兵器を抹消するための恐怖のプラン「712」が実行されつつあった…。
以前ここで「ファングス」という映画を紹介した。伝染病をもったネズミが町中で大繁殖し、人々は恐怖のどん底に陥る…という内容のあれである。本作も蛇映画でありながらあの作品同様に「生物大量発生+伝染病パニック」という二大要素を詰め込んだものになっているのだが、ネズミ退治に重点を置くあまりに伝染病の解決手段が完全に運に頼っていた節のある前者と比べると、本作は逆に伝染病対策の方に重点が置かれている。そのため本作ではファングスと比べると、蛇退治がラストのモノローグだけで語られていて不満と言えば不満なのだが、そもそもファングスもネズミ退治の手段は秀逸とは言い難かったものだったので、同じ構成の作品と言えど出来の良さでは本作の方に軍配が上がる。
だが本作では、「隔離された町から脱走を試みた人間が、車ごと軍のヘリに撃ち抜かれる」というような伝染病パニックの定番と言えるシーンを何の工夫も無く堂々と出していたり(しかも同じ映画で似たシチュエーションが二度も登場する)、ステルスの飛行シーンはどう見ても有り物フィルムの使用だったりと、せっかくスケールは国家規模なのにところどころで妙にケチくさい点が目立つ。その点に目を瞑りさえすれば、本作は伝染病パニックとしても蛇映画としてもそれなりに楽しめる良作なのだが。

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