不思議惑星キン・ザ・ザ             「評価 S」
マシコフは夕飯の買い物に行く途中、ゲデバンという学生から声をかけられた。「あっちに妙な人がいます」と。そこでマシコフはゲデバンと共にその男に会ってみたのだが、その男は自分を宇宙人を自称したり、この星の番号がどうのこうのと言ったり、とても二人のついていけないような話を始めたのである。そこでマシコフは男が「空間移動装置」と自称するもののスイッチをたまたま入れてみると、その瞬間二人は砂漠のど真ん中へと移動していた。そう、二人は男の故郷であるキン・ザ・ザ星雲の惑星ブリュクへと来てしまったのだ。その星の奇妙な風習や制度に振り回され、二人はなかなかブリュクを脱出できない。果たして、二人は遥か彼方の地球へ帰ることができるのだろうか?
社会主義国ソ連が製作した本作。何と言っても面白いのは、地球の常識からはとても考えられないようなキン・ザ・ザの人々の奇妙な風習である。カルチャーギャップからくるギャグは数あるものの、本作はまさにその究極系と言っても過言でない。これだけ地球と違っている文化を考えるとは、ソビエトには恐ろしい人がいたものである。空間移動の際にも下手な演出効果を用いず、地球のカットからいきなりブリュクのカットへと移ることでマシコフとゲデバンの困惑感を十分に現していたりと、低予算でありながら見事な演出が為されている。
また、そんな本作を更に面白くしているのが、マシコフとゲデバンのキャラであろう。一般教養をもち合わせ、どこまでも常識人なマシコフと、特技が何もない代わりに手癖だけは悪いゲデバン。この凸凹コンビが、キン・ザ・ザ星雲の奇妙さと絶妙な折り合いを見せてくれるのだ。
構成、演出、登場人物の設定と、全てにおいて非常に秀でている本作。ソビエト(現ロシア)が世界に誇れる芸術映画の一つと言っても良いほどの名作であった。

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