バトルフィールド・アース 「評価 C」
「ジョン・トラボルタ主演 SF超大作」「ジョージ・ルーカス、クエンティン・タランティーノ大絶賛!!」と、やたらと大げさなキャッチコピーが凄い本作。しかも宣伝ポスターでは主人公らしき人物がスターウォーズの如く超兵器を構えていて、そのバックでは複数の戦闘機らしきものが光線を放っているし、あまりに無知な人だったら本作をA級スペースオペラと勘違いしてしまうかもしれない。
だが少しでも映画を知っている人ならば周知の通り、本作は去年のラズベリー賞に輝いただけでなく、様々な国の映画批評サイトでボロクソに叩かれるほどの「金がかかっているゴミ映画」だったのだ(ルーカスやタランティーノは本作のどの辺をどう大絶賛したのかが大変興味深いが、まあそんな事は置いておくとしよう)。そして私も本作を観てみたのだが、なるほど・・。というわけで早速批評に入るとしよう。
西暦3000年、地球は突如現れたサイクロ星人の侵攻を受けて僅か9分で壊滅してしまった(なんて豪快な設定。こんな所から既に怪しさを爆発させている辺り、今後の雲行きは非常に不安だぞ)。戦いに勝利したサイクロ人はアメリカのデンバーに巨大ドームを建て(サイクロ人は地球の大気では生きていけないので、「呼吸ガス」なるものをドーム中に充満させている)、残存人類を奴隷にして金の採掘を始めたのであった(と言っても、映画の中盤ごろまで金はサイクロ人が掘っていたようだ。何のための奴隷なんだ!?)。
一方でサイクロ人の捕獲を逃れ、辺境の地でひっそりと暮らす人間達がいた。そして、そんな彼らの中に、本作の主役であるジョニーがいたのだ。ジョニーは村の食料が不足していることから「俺が食料のある地を探してきてやるぜ!」と言っていきなり村を飛び出したのはいいものの、それから上映時間が15分も経たぬうちに狩猟民族と神の存在について問答しているところをサイクロ人に捕獲され、デンバーのドームに収容されてしまった(おいおい)。
その後はというもの、牢屋で奴隷生活をすることになったジョニー。ところがその頃、ドームの指令であるジョン・トラボルタが自らの私腹を肥やすため、総司令部に内緒で人間に金を掘らせる計画を練っていたのである。そこでトラボルタは以前から目をつけていたジョニーを教育マシーンにかけ、採掘機の技術を教えこむと、山奥の地で奴隷達に金を掘らせようとしたのだ。しかし、なまじ教育マシーンにかけてしまったため、ジョニーは必要以上に賢くなっていた!彼は奴隷仲間と共に、監視が行き届いていない隙に採掘機を乗り回しテキサスへ行って武器を集めたりと、反乱の準備を整えだしたのである。そしてジョニー達は採掘が終わる七日後までに準備と計画を整えると、遂にドームの中で反乱を起こした。まず副指令を脅して牢屋から逃げ出し、見張りに気づかれる前にドーム中のいたるところに爆弾を仕掛けた。爆弾が爆発すればドームの表面に穴が開き、外気に弱いサイクロ人は瞬く間に窒息するからだ。そしてそのドサクサに紛れ、ジョニー達はドームの奥にある転送装置(牢屋にいたジョニーはこんなのがあった事をいつ知ったんだ?)で大量の核爆弾をサイクロ星に転送して大爆発をおこす(劇中では転送させてから起爆スイッチを押していたが、スイッチの電波はそんな宇宙の彼方まで届くものなのか?)。サイクロ人の「呼吸ガス」は放射能と反応して爆発する(どんな気体だよ!?)ことをジョニーは知っていたので、核爆弾一つでもサイクロ星を吹っ飛ばす威力があると考えたのだ。
その計画の通り、ジョニーの仲間はドームに穴を開けるため爆弾を爆発させた。ところが、なんと爆発はドーム表面にヒビをいれたものの、穴は全く開かなかったのである!その一方で転送装置に到着したジョニー達も、トラボルタの攻撃を受けて転送装置を作動させることができずにいた。作戦は大失敗してしまったのだ。果たして、こんな事で反乱は成功するのであろうか!?
・・という内容の本作。他にもいろいろと笑い所やツッコミ所は満載で、何の前触れも無しにジョニーの新しい仲間が登場していたり、トラボルタ達サイクロ人がドームの外で付けている呼吸装置がどうしても鼻栓付き耳ピアスにしか見えなかったり、トラボルタの上司である地球総指令が「地球は小さすぎて住みずらい。それに重力も低いし」と言いながらきちんと地球を二足歩行していたり(重力が低いんなら二足歩行どころじゃないのでは?)、トラボルタは若い頃「宇宙征服の訓練」なるものを受けていたり(どんな訓練だよ!)、同じくトラボルタがジョニーに射的の腕を披露しようとするシーンでは、トラボルタは動きの鈍い牛を撃って「私の射撃からはどんな者も逃れられない」なんて言い出すし(空を飛ぶ鳥ならともかく、のっそりと動く牛なんか撃っても自慢にならないと思うが)、クライマックスのドーム爆破シーンでは非常に都合のいい場所に爆薬が置いてあったので爆破に成功したりするのだ。
これだけの馬鹿SF映画、決して狙って作れるものでは無い。天然だからこそ、これだけの笑いが生み出せるのだ。話の内容は非常に最低映画に相応しいものだったが、全体的にかなり笑える分、私としての評価はそこそこの映画であった。
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