ストーム・シティ 「評価 C」
1962年、北海で発生した巨大ハリケーンはアイスランド沖の油田基地を襲い、そしてドイツ沿岸へと向かいつつあった。その頃ハンブルグでは、久々に故郷に帰ってきた船乗りのヨルガンが、恋人だったカチャが別の男と結婚すると知って愕然となっていた。結婚式の会場に駆け込んで彼女に真意を問い質そうとするも、敢え無く追い払われてしまう始末。雨が降りしきる中、ハンブルグ市内を茫然と歩き回るヨルガンだったが、その時彼は信じられないものを目の当たりにした。大量の水が波となって、こちらへ押し寄せてきたのだ。ハリケーンによってエルベ川の水が氾濫し、堤防が決壊したのである…。
ハンブルグで実際に起こった大洪水を題材にした、ドイツ製のテレフィーチャー。「ブルーサヴェージ」のヨルゴ・パパヴァッシリュー監督によるツボを押さえた演出は本作においても健在で、特に映画の山場の一つであるヨルガンが洪水に気づく場面は、「馬が道を急いでいるのを見つける→馬が走ってきた方向に目を向ける→何も無い街路→突然道の角から大量の水が」と間のとり方も申し分なく、思わず震えがくるほどの見事な出来だった。また激流と化した街路で子供を助ける際の展開も、パニック映画好きとしては見逃せない。次々と流れてくる車をかわしながら街路を横断する様は、嬉しくなるくらいにスリルに満ち溢れていたのだ。ただし実話ベースという制約のためか、災害描写が割と地味めだったのは残念なところ。前半の大きな見せ場であるはずの油田基地内でのトラブルが、内容・演出共に平凡の域を抜け出ていなかったのも、作品全体の評価を落としているように感じられた。
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