ピッチ・ブラック                「評価 A」
面白い。とにかく本作は良く出来ている。砂漠に2〜3個のセットを設置するだけで、地球とは他の星に見せてしまうアイデアと映像テクニック。そして人間を襲うエイリアンの造型の見事さ。本作は低予算ながらも、独自の世界観を作ってしまった秀作なのである。
事故によって、とある宇宙船が3つの太陽に囲まれた砂だらけの惑星に不時着した。しかしそのドサクサに紛れて、宇宙船に乗っていた殺人犯は手錠を外して砂漠へと逃げ出してしまう。そこで宇宙船の乗組員や乗客は、手分けして逃げた殺人犯を探したのだが、実はこの星は闇に動くエイリアンの巣となっていて・・と、話の内容自体は結構ありがちなのだが、照明を利用して3つの太陽が輝く別世界を演出していたり、エイリアンをいきなり登場させないために、光を嫌っていて、22年に一度の日食に大挙して地上に現れるという設定にしていたりと、かなり凝った作りになっているのである。
しかし本作、上映時間が短いためか、どうもあっという間に終わってしまった感がある。それほど面白かったということかもしれないが、結局最後まで顔と名前が一致しない奴がいたり、墜落した地点で何人生き残っているのかがよく分からなかったりと、スッキリまとめすぎたせいで様々な弊害が生じているのだ。アイデアや演出が抜群の出来だけに、その点が実に惜しまれる作品であった。

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