ブラック・ドッグ                「評価 B」
まず、この映画のタイトルにもなっている「ブラック・ドック」について説明しよう。ブラック・ドックとは乗り物を運転している途中で起きる現象の名前である。雨の視界の悪い日になると、突然道路に黒い犬が現れて運転手に飛び掛かってくる。だが実はそれは幻で、運転手が驚いてブレーキを踏んだときには、すでにその犬は消えていた…というものらしい。
そして、本作の主人公もブラック・ドック現象を見てしまう。しかも主人公は不運なことに、ブラック・ドックに気を取られて、うっかり人をひき殺してしまったのだ! 主人公はトラック野郎の職を失い、免許も失った。しかしある日、一人の警官に、免許を再発行した上に多額の報酬も手に入る代わりに、トラックで或る積み荷を運ぶようにと依頼された。家計が苦しかったので、依頼を引き受ける主人公だったが、その積み荷はなんと大量の違法銃だった。「レッド」という男が率いる強盗組織や警察と戦いながら、主人公達はトラックで荷物を運ぶのだが…と、話の内容は普通である。
だが本作、肝心のブラック・ドック現象が犬の吠える顔を写した写真がカメラにズームアップしていくだけ、という何とも貧相な代物なのだ。タイトルにもなっている部分なのだから、もっと拘りを見せてほしかったところだ。
それは置いておくとして、本作の見どころはズバリカーアクションである。強盗組織の乗るトラックを主人公の見事な戦法で次々と倒していく様は、観ていて実に面白い。特にクライマックスではカーアクションの真骨頂とも言うべき派手な戦いが拝め、「ブラック・ドッグ」の描写についての不満も吹き飛ばしてしまう。そういう意味で本作は、アクションに救われている映画であった。

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