風雲ストームライダーズ             「評価 S」
いやあ、ここまで漫画的表現にこだわった実写映画は珍しい。この映画はまさに、「漫画を見ているような感じのする映画」である。漫画的誇張表現を無理矢理に実写で再現しているため、これを観ていると所々で大爆笑の嵐。気合いで滝の流れを止めたり、手のひらから火炎を発射するなんてのは、まだまだ序の口。この作品こそ、漫画を実写化した映画の究極形の1つと言えよう。
ストーリーは主に前半、中盤、後半の3つに分けられている。前半部分は、主人公の「風」と「雲」(演ずるはアーロン・クォックとイーキン・チェン。)の子供時代の話で、天下最強の「十大兵器」を集め、最大のライバル「剣聖」を倒そうとしている、武術集団「天下会」の首領・雄覇(演ずるは千葉治郎の実兄、千葉真一。いわゆる最後の敵なのだが、タイトルクレジットによればなぜか、こいつは主役という役回りらしい。)の手によって2人それぞれの親は殺され、2人は首領によって、天下会の拳士として育てられる。という展開で進んでいく。これだけでも、期待できる要素が詰まっていて、観ていて飽きさせないようになっている。
その後、風と雲は成長し、物語は中盤へと突入する。中盤は主に、雄覇の娘と2人の三角関係と、雄覇の陰謀という、2つの話を軸にして話が進む。この地点で、雄覇の集めているものが、いつのまにか「十大兵器」から「一刀三剣」に変わっていたりするのだが、まあ、雄覇も妥協をするという事であろう。そして三角関係の果てに、雄覇はうっかり、自分の娘を殺してしまう。それに雲は激怒し、風は落胆した。そして物語は後半へと移る。
後半は、落胆し自堕落になった風が、娘の仇をとるために立ち上がるのと、激怒し天下会を抜け出した雲の、雄覇との戦い。という2つの話で進む。風は雄覇の罠によってピンチになるのだが、封印されていた「雪飲刀」(一刀三剣の1つ)を封印から解き放ち、それによってピンチを切り抜ける。そして雲は、娘の亡骸を安置した後、雄覇に襲われて右腕を失う。だが、右腕が体から離れたがっていたという医者の手をもらい、事なきを得るのだった。(なんだか、とっても御都合主義の展開だが、きっと漫画っぽさにこだわっているからに違いない)そして、2人は天下会の総本山へと向かうのだが、その頃、雄覇は剣聖と戦っていた。だが、その剣聖というじじいは、なんと寿命寸前のヨボヨボじいさんだったのだ!(目が霞んで、平行感覚すらない)さすがにそれでは生身では戦えないので、剣聖は意識を具現化した自分のコピー(意味が分からない人は、ビデオを観ましょう)に雄覇との戦いを任せた。こうして、雄覇と剣聖のコピーとの戦いが始まった!ヨボヨボの体でない剣聖のコピーは異常なまでに強く、雄覇は次第に追いつめられていく。が、しかし! 総本山の大階段にいる剣聖の本体(意識はコピーに移っているため、当然動けない)が、駆け付けた雲の連れの小娘のイタズラによって破壊されてしまったのだ!剣聖死す!そのため、コピーも消滅! 死闘はあっけなく幕を閉じてしまった(なんという衝撃的な展開!驚いて声も出ないぞ!)。
そしてその後、雲と風が合流。遂に雄覇との決戦が始まったのだ! 剣聖との激戦の後だというのに、雄覇の拳術(というより魔術)はまったく衰えない。果たして風と雲は、雄覇を倒すことが出来るのか!?。
上映時間2時間以上の大作なのに、最初から最後まで目が離せない緊張の連続で、観ていて飽きさせない作りになっている。漫画の要素を詰め込めるだけ詰め込んだような内容なのだが、それが面白いのだからしょうがない。これぞ真のエンターテイメントだ!
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