レイダース 失われたゾンビ 「評価 C」
町外れのコルター農場。広大な墓場のあるここには、取材に行った記者が帰ってこなくなるという悪い噂があった。そこでスクープを探していたモーガンは、相棒の女性と一緒に真夜中の農場へ潜入取材を敢行した。人気の無い道を進み、倉庫と思しき建物に足を踏み入れるモーガン。ところがそんな彼の前に現れたのは、恐ろしい風貌をしたゾンビの群れだったのである。行方不明になった記者は皆、夜になると現れるこのゾンビ達によって殺されていたのだ。モーガンは倉庫から逃げ出し、ガソリンを撒いて追ってきたゾンビを焼き払う。だがその頃、相棒の女性は既にゾンビの群れに襲われて命を落としていた。モーガンは何とか農場を脱出し、夜明けの道路を歩いていたところを通りかかった女性に保護してもらったものの、彼の災難はまだ終わらなかった。実は農場付近の廃墟では科学者が死者蘇生の研究をしており、実験の産物だったゾンビを目撃したモーガンを始末しようと目論んでいたのである…。
単に原題が「RAIDERS OF THE LIVING DEAD」だからという理由だけで、某冒険映画そっくりの邦題とタイトルロゴにされた本作。冒頭15分ぐらいを丸々費やして放射性物質を積んだタンクローリーを奪った男と警察隊との攻防が描かれるのだが、それは結局本筋と全く関係がなく、いきなりこちらの出鼻を挫いてくれる。そして事件に決着がついた後、漸く本題であるゾンビとの戦いが始まるのだが、これが炎の中にゾンビがわざわざ突っ込んでいって自滅したりと、脳味噌が溶けてきそうな爆笑シーンの連続だ。
だがしかし、この映画にはそれらの場面を上回る大いなる見所があった。モーガンを助ける老医の孫としてメカフェチ小僧が登場するのだが、彼はレーザーディスクを修理しようとしたら何かの間違いで殺人光線銃を作ってしまったという、実に素晴らしいキャラなのである。最初は出力の弱い光線で不良なんかを追っ払ったりしていた少年だが、やがてモーガンと知り合ってゾンビの存在を知ると、ガールフレンドと一緒にゾンビ軍団と戦うことを決意する。ろくな武器を持っていないので苦戦するモーガンを尻目に、光線銃でビュンビュンとゾンビを退治していく少年達。この時点で最早主人公としてのモーガンの威厳など地に堕ちており、完全に映画の主役は彼らに移ってしまっている。するとモーガン、大人気ないことに少年達から光線銃を奪い上げ、まるで自分の物であるかのように光線銃を使い始めたのだ。そしてゾンビが全滅すると、全部自分の手柄だと言わんばかりの様子で胸を張るモーガン。その時の彼の姿は、もうあまりにも情けなくて涙が出てきてしまう。…とそんなわけで、殺人光線銃なんて物騒なものを作った少年と、彼に主役の座を奪われたモーガンの凋落ぶりが楽しくてしょうがない映画だった。
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