リバイアサン          「評価 C」
海底の採掘基地で働く者達が、基地の近くで沈没船を見つけた。リバイアサンという名のその船はロシアの物らしいが、何故か地上のデータベースによると現在も海上を航行しているということだった。作業員達はこの船を不審に思いながらも、積荷からウォッカを発見して喜んでいた。しかしやがて、リバイアサンの内部に潜入した作業員の体に異変が生じる。実は以前、リバイアサンでは遺伝子の研究が行われており、誕生した新生物によって船員が全員抹殺されていたのである。そこで事態を重く見たロシア政府はリバイアサンを海底深くに沈め、新生物諸共その存在を闇に葬っていたのだ。だが新生物は未だに生き長らえており、リバイアサン内部にやってきた作業員の体へと乗り移っていた。やがてこの作業員は怪生物に変貌し、基地内の人間を襲い始めた。
80年代末、「ザ・デプス」「リバイアサン」「アビス」「新リバイアサン リフト」「マンタ」と続けて製作された深海SF映画の一本。怪物が登場するまでの時間がやたらと長かったり、クライマックスで何の前触れも無しに鮫が登場して無意味に危機感を煽ったりと、パニック映画としてはそれほど良い出来とは言えないものの、こと怪物の描写に関しては見物である。
本作の怪物は「ザ・グリード」を小型にしたような牙の生えた触手を持っており、それを用いて基地内の人間に次々と自らの細胞を植え付けて行く。怪物の細胞が体内で増殖していくにつれて彼らは変貌していき、やがて完全に怪物と同形になるのだが、その腹部には元の人間の顔がしっかり残されている…。本作はこの変貌までの過程がじっくりと描かれており、怪物の醜悪なデザインと一緒に不気味さを強調する良い要素になっている。
また本作、何といってもラストが素晴らしい。秘密保持のため基地内の主人公達に嘘の説明を続けてきた女が、万事解決した後で主人公達の前に現れる。ところが女は全くしゃあしゃあとした表情で、生還した主人公達に祝いの言葉を述べてきたのである。それを見た主人公は腹を立て、女の顔面を殴打する。卒倒する女。「スカッとしたぜ」と言い、その場を立ち去る主人公。まことに主人公の言葉通り、観ていてこれ以上ないくらいにスカッとする名ラストだ。

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