ロストゾーン            「評価 D」
遥か未来、地上が荒れ果ててしまったので、人類は地下に逃れて生き延びていた。だが地下での生活を続けて行くうちに人類は未来に不安を覚えるようになる。そこで不安を解くべくカルト教団が無数に出現し、それぞれの教典に基づいて民衆を導くようになった。しかし各教団は民衆から多額の金を搾取している上、勢力拡大のために殺し屋を雇って他の教団を潰すようにまでなったのである。そんな中、家族を奪われ、殺し屋として生きる男がカルト宗教に命を狙われることとなる…。
荒廃とした未来に生きるアウトローを描いた本作は、冒頭の話の運び方が感心できる物になっていた。ターゲットである母子に自分の亡き家族の影を見て、仕事を投げ出し彼女らを助ける主人公。それによって無二の友人と対立することになり、また依頼主のカルト教団も彼と母子を狙って暗躍する。ありがちながらもツボを押さえた展開になっており、冒頭に登場した人型マシーンなどの小道具も相俟って観る者を作品の世界に引きこんでくれるのだ(人型マシーンはフォークリフトを改造したような安っぽい物だが味わいがある)。
ところが中盤、主人公が母子と一旦別れる辺りから急に失速を始めてしまう。それまで主人公を追いまわしていた友人が暫くの間登場しなくなり、その間主人公は街のチンピラや人食い男相手に大して盛りあがりもしない戦いを延々と続けるのである。この失速した雰囲気はクライマックスの戦いに至ってもさして改善されず、冒頭の人型マシーンが実にあっけなく壊されたりと、あまりにも期待を裏切るような展開に辟易せざるを得ない。
更にラストは「世界が燃えつきる日」を彷彿とさせる腰砕けなオチだったりと、序盤の積み重ねが全く生かされていない映画だった。

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