レッド・ウォーター サメ地獄           「評価 C」
かつて石油掘りをしていた漁師のところに、元妻だった石油会社の女性から依頼が舞い込んだ。今度会社で新しい石油採掘施設を作るので、その技術者として彼を迎え入れたいと言うのだ。採掘中の事故で同僚を死なせて以来、その世界とは縁を切っていた男だったが、金銭面で困っていたのもあり、気が進まないながらも仕事を引き受けることにした。数日後、会社の人間達と一緒に船に乗り、採掘地点である河川に向かう。その途中で一行は、淡水で棲息するという特殊なサメを退治しようと頑張っている人間達を見掛ける。何でも先日、近くを泳いでいた女性がサメに襲われ、その親がサメを退治したら5万ドルの報酬を与えると言い出したそうだ。一行はそんな彼らを見送りながら河川を進み、採掘地点へと辿り着いた。ところがそのすぐ近くでは、不審な船がダイバーを使って何かの作業をしていたのだ。ライバル会社が来たのかと身構える一行だったが、実は彼らは水中に隠した大金を探しているチンピラ達であった。そしてチンピラ達と一行が接触した時から、事態は石油採掘どころでは無くなってくる…。
「海を舞台としないサメ映画」という珍しいコンセプトの本作だが、鮫との戦いよりも川底に沈んだ大金を探すチンピラとの戦いに時間と予算が割かれており、主役の鮫に用意されていた「黒入り江の精霊」という設定が全く生かされていないのが残念だった(本作には金のかかってる水上爆発が三回あるのだが、そのどれもがサメに関係無いという有様)。おまけに昔から生息していたはずのサメなのに何故か犠牲者が出たのは今回が初めてだったりと、いろいろと不可解な点も多い。 しかし話におけるサメのウエイトが非常に軽い本作ではあるが、映画が進行していくに連れてどんどん豪華に変貌して行く鮫の姿は必見である。
冒頭、湖で泳いでいた女性をサメが襲った場面では、サメは水中を泳ぐカット以外に一切姿を現さず、ただ赤いペンキが湖にぶちまけられるだけという手抜きそのものな代物だった。
しかし次にサメが登場する、ガイドを橋の下から襲う場面では模型が使われ、頭の部分だけ飛び出してすぐに水中に沈み、後は赤いペンキが流れ出すという風に進歩していた。
そして話の中盤、チンピラに脅された主人公達が大金を引き上げようとしてサメに襲われる場面からは急に今までの低予算な雰囲気が夢だったかのようにCGがバンバン使われるようになり、最初から観ているとその変貌ぶりに驚くこと請け合いである(単にサメの姿がバラバラだとも言うが)。更にサメの退治方法についても採掘用のドリルで抉るという斬新な方法が用意されており、話の中の位置付けに反し、サメを観ていて色々と楽しめる映画である。

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