レジェンド・オブ・ヒーロー 中華英雄 「評価 B」
「風雲ストームライダーズ」「決戦・紫金城」などの、熱い漢たちが人間の域を超えた超必殺技を用いて戦う「スーパー香港アクション映画」が再び満を持して登場! しかも今度の映画は忍者も登場し、より熱いバトルを展開させてくれた!
阿片戦争があった頃、拳法で身を立てようと考えていたヒーローは、友人のジェーイと共に日本で修行した凄腕の拳法家ブライドへ弟子入りを志願し、見事入門試験に合格した。ところがその晩、ヒーローが家に帰ると彼の両親が香港在住の白人達に惨殺されていたのである! さっそく怒りに燃えたヒーローは、親の形見となった赤剣で両親を殺した白人達を皆殺しにした(当然拳銃なんか剣の前には無力!)。だが、当時の香港では白人殺しは大きな罪。そこでヒーローは逮捕から逃れるため、婚約者のシェーンやジェーイを香港に置いて、赤剣片手にアメリカへ渡ったのであった(いきなり高飛びする主人公なんて前代未聞だ)。
ところがアメリカでヒーローを待っていたのは、鉱山での過酷な労働の日々だった。身よりのない亡命者達はアメリカ人にとって格好の奴隷だったのである。亡命船で知り合った羅漢という名の中国僧と友情を深めながら、鉱山で地獄の日々を送るヒーロー。みじめな生活を送る彼の姿は、とてもスーパー香港アクションの主人公とは思えない。果たしてこの映画はこんなに惨めなものなのか!? と思っていたら、ヒーローは兄弟子のシャドウ(常に怪しい仮面を被っている)にあっさり救出されてしまいました。鉱山を逃げて自由の身となったヒーローはアメリカに来たシェーンやジェーイと再会し、チャイナタウンの宿「中華楼」で束の間の幸せな日々を送ったのである。だがそんな中、ブライド師匠の最大のライバルである日本忍者のムテキ(スゲエ名前)が、憎きブライド一門を潰すために彼の直弟子の「五大忍者」(こいつらもデューク、マーズ、ジュピター、マーキュリー、サターンと、師匠に負けじ劣らずスゲエ名前)をアメリカへと派遣したのである! たちまちチャイナタウンを舞台とした死闘が始まった。地面をひっくり返したり、水玉を宙に浮かせたりと、どう見ても魔法にしか見えない「忍術」を操る五大忍者を相手に師匠仕込みのスーパー拳法で戦うヒーローとシャドウ。だが勝負はすぐには決着がつかず、双方互角のまま両者は退却していったのだ。
そして五大忍者が退却してから数日後、ヒーローの妻となったシェーンは双子の赤ん坊をめでたく出産した。ところがその時、五大忍者筆頭のデュークがジュピターにフラれた腹いせに中華楼に火を放ったのである! 生まれたばかりの赤ん坊を抱えて、炎に包まれるヒーロー達。産後間も無いシェーンを背負い、なんとか燃える中華楼を脱出したヒーロー達だったが、デュークの手の者によって赤ん坊が一人奪われてしまい、その時のショックが元で間もなくシェーンが死んでしまったのだ。
それから数日後、ヒーローは街の占星術師の口から「おまえに近づく者は必ず不幸にあう。」と通告されてしまう。確かに自分の両親や妻は不幸な死を遂げているので、その占星術師の言うことを真に受けたヒーローは、ジェーイに息子の「ソード」を託し、シャドウと共にチャイナタウンを後にしたのであった。
放浪の身となった二人は、ブライド師匠とムテキが互いの争いに終止符を打つべく直接対決をするという情報を聞き、決戦の場である日本へ向かった。胡散臭い寺院の中で、互いの弟子に見守られながらスーパー拳法による激闘を繰り広げるブライドとムテキ。初めはムテキを遥かに上回る超奥義で圧倒的有利に立っていたブライドだったが、ムテキの仕掛けた卑劣な罠にかかってしまい、無念にも敗れてしまった! 重傷を負ったブライドはヒーローに流派最終奥義を託して死んでいった。やはり自分に近づく者は不幸な死を遂げてしまうのか。そう悟ったヒーローはシャドウとも別れ、孤独な旅に出ていったのだ。
それから時は流れ、十七年後。立派な拳法家に育ったソードは育ての親であるジェーイと共に父親探しの旅に出ていた。だが彼らは拳法の達人である中華楼の店主や鉱山を脱出していた羅漢、そしてちゃっかり子持ちになっていたシャドウ(でも仮面姿)と会ったものの、ヒーローの所在に関する手がかりは何一つ掴めなかったのである。そんな中、二人は羅漢が働かされていた鉱山には未だに多くの中国人が働かされている事を知り、中華楼店主らと協力して鉱山開放に乗り出すことになった。京劇役者を装って鉱山に殴りこみをかける一行。しかしシャドウの応援などがあったものの、ヒーロー程の腕を持ち合わせていない彼らは拳銃相手に無力同然だった。果たして鉱山開放作戦は失敗してしまうのか!? ところがその時、彼らの前にヒーローが現れ、なんと気合いだけで敵を一掃してしまったのである! ここ十七年の修行で、ヒーローは兄弟子をも上回る腕を身につけていたのだ(シャ、シャドウの立場は…)。そんな彼の活躍によって鉱山は見事に開放され、多くの中国人達が救われたのであった。
ヒーローが戻り、チャイナタウンは再び活気を取り戻した。だがその一方で、鉱山監督のドラゴンは鉱山を潰された怒りに燃えていたのである。打倒ヒーローを誓った彼は、なんと十七年間影を潜めていたムテキやデュークと手を組み、KKK団(!?)と共にチャイナタウン壊滅作戦をうちたてたのだ!
その数日後、いよいよチャイナタウンにKKK団が現れて決戦の火蓋が切られた! ソードはドラゴンと、中華楼店主やシャドウの娘はKKK団と、シャドウはデュークと、そしてヒーローはムテキと自由の女神像を舞台に死闘を繰り広げる!果たして勝負の行方は!?
この長〜い説明を読めば分かるように、本作はなんともスケールのでかい大河アクションとなっている。だが、登場人物はそれぞれ個性に溢れているので、「登場人物が多すぎてワケがわからん」という長編モノにありがちな欠点が全く無いのが非常に良い。熱い主題歌もあるし、ストーリーも普通の香港アクションに忍者やKKK団などを登場させ、スケール感を盛り込もうとしたその努力は認められる。だが残念なことに、本作はどうもスケールを拡大させすぎて消化不良になってしまった感があるのだ。クライマックスの要であるはずのシャドウとデュークの戦いが一切描かれていないのは、その最もたるものだろう。他にも奪われた子供やシャドウの娘など、あまりにも存在が軽く扱われている登場人物が多すぎたり、クライマックスの戦いが盛り上げに欠けていたりと、話のところどころに消化不良は見られる。設定が面白いだけ、非常に残念な作品であった。
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