ライトニング                  「評価 B」
考えてみれば、「雷」というのは沢山あるパニック映画のジャンルの中でも特に扱いが酷いのではなかろうか。落雷によって飛行機が墜落とか、嵐の町の背景として使われたりとか、とにかく今までのパニック映画では「雷」が主役にのぼることはごく稀であった。まあ、雷ほど扱いに難しい素材もそうそうないのだが、それでも本作のようにその難しい素材に正面から取り組んでみるという意欲作があると嬉しくなってしまう。ただ、意欲作であることは良いとして、どうも本作は雷という素材を上手く使いこなせていないのだ…。
場所はミズーリ州の田舎町。ここでは現在、大型ショッピングセンターの建設について激しい反対運動が行われていた。ショッピングセンターが出来たら商店街は潰れてしまう危険があるからだ。だが、当然の如くショッピングセンター側の人間は聞く耳を持とうとせず、建設工事は着々と行われるのであった。一方その頃、町に住む気象マニアの青年が低気圧の異常な動きに気づき始めていた。今日のうちに二つの巨大な低気圧がこの町の上空で合わさり、なんと町は百年に一度の大嵐に見舞われてしまうというのだ。しかし青年が気づいた時は遅く、既に嵐の予兆の雷が町の周囲に次々と落ちていたのである…。
本作は基本的に嵐を素材としているのだが、暴風雨よりその際に落ちてくる雷に重点を置いて話を作っている。そこが他の嵐を題材としたパニック映画とは一線を画しており、目新しく観ることができて良い。しかもパニック映画に必ずといっていいほどあるドロドロした人間関係も、この映画ではラストでスッキリとまとめてくれるため、観終わった後で嫌な後味を残すことも無く、結構良い仕上がりになっているのだ。
だが先ほども述べたように、本作は雷を使いこなせていなかった。雷が学校に落ちるシーンは何故か非常にノロノロとしていて、落雷のスピード感が全く出ていない。同じく雷が鉄塔に落ちるシーンでは、そのすぐ隣の鉄塔で作業していた男が雷が鉄塔に落ちるのを見た後で「おい、ノロノロするな!」と作業仲間に言われながら鉄塔を降りようとした時に、ようやく感電しているという有様。人間ドラマは申し分無いのに、全体的に雷の描写に不満が残る映画であった。

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