ワイルド・グリズリー 「評価 C」
その普遍的イメージに反し、映画の主役としてあまり選ばれないのが熊という動物である。「ジョーズ」の便乗で作られた「グリズリー」以降、熊が主役にのぼることは殆ど無かった。その理由として考えられるのはやはり、役者の不足であろう。
熊映画を作るとなれば、着ぐるみを使わない場合、必ず熊の役者が必要になる。これは蛇や鮫の映画にも言える事だ。しかし、熊を調教している人は蛇や鮫に比べると遥かに少ない(しかも蛇は調教しなくても大丈夫な場合が多い)。これが、熊映画を作りにくくしている原因だろう。
そんな中で久々の熊映画となったこの映画、とにかくスプラッター描写にこだわっている。熊に人が襲われるたびに、血、血、血の嵐。B級映画テイスト(といっても、本当にB級なのだが)にこだわる姿勢が、この手のファンには堪らないだろう。
ただそれとは正反対に、脚本は少年と熊の交流を軸にした、とても穏やかな作りになっている。特にラストはあれだけ人を殺した熊が、子熊と共に大自然へと帰されてしまうのである。熊としてはそれで良かったのかもしれないが、これでは殺された人は絶対に浮かばれないだろう。
演出と脚本のチグハグな折り合いが楽しい、いかにもB級という感じが漂う怪作である。
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