悪魔のしたたり            「評価 A」
夜の街角で密かに開いている見世物小屋。そこでは自称魔術師のサルドゥが、助手の小男ラルフスと一緒になって残酷な女体拷問ショーを繰り広げていた。だが苦痛にもがく女性を目の当たりにしながらも、観客はどうせ演技だろうと思っているのでさして驚きはしない。見世物小屋という如何わしい舞台が、彼らの目に常識のフィルターをかけていたのだ。ところが実のところ、このショーで行われているのは全て真実だった。裏で白人奴隷のディーラーをしていたサルドゥが、自分の芸術欲を満たすために白人女性の公開処刑を続けていたのである。ある晩サルドゥは、観客としてやって来たバレリーナのナターシャを見初め、彼女を主役に据えたSMショーを開きたいと考えた。そこでラルフスをニューヨークシアターに派遣し、着替え中の彼女をあれよあれよと言う間に誘拐させると、ショーへの出演を依頼した。しかし芯のしっかりしているナターシャは、サルドゥが幾ら脅迫めいた頼み方をしても決して彼の要求に応じようとはしなかった。そうこうしている内にサルドゥの依頼方法もエスカレートしていき、彼女のライバルだったバレリーナの足を持ってきたり、目の前で奴隷を断頭台にかけたりと、狂気じみたものになっていく。そのためさすがのナターシャも精神が衰弱し、とうとうサルドゥに忠誠を誓ってしまった…。
屋外撮影0、気の利いた演出0、あるのはただ凄惨な拷問シーンだけというこの映画。何でもサルドゥ役の俳優が本当にそっちの趣味がある人間で、彼が製作に口を出したことによりこんな内容になったらしいが、それだけの事はあり本作、物凄くバリエーションに富んだ拷問は圧巻である。定番の鋸引きや抜歯、電気責めは勿論のこと、奴隷の眼球を吸い出して美味しそうに頬張ったり、脳みそをストローで吸い出したり、バックギャモンのチップとして奴隷の体をバラバラにしたり等々、考え付く限りの変態行為が並べられているのだ。正常な人が心の準備をしないで観ると、間違いなく吐き気を催すことだろう。
確かに映画は稚拙な出来で、日本が誇る拷問映画「ギニーピッグ」とはトリックの精巧さに雲泥の差があるのだが、逆にこの安っぽさが劇中の見世物小屋と重なり、結果としてリアルさを醸し出しているようにも思える。カルトと呼ばれるのも頷ける作品だ。

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