悪魔の調教師 「評価 D」
ラスベガスへ続く道を、一台のフォードが走っていた。乗っているのは三人の女性で、これから行われるショーに出演する予定だった。ところがこのままでは遅刻しそうなので、砂漠の小道を進むことにした三人。ここを通れば近道になるはずだったが、運悪く途中でラジエーターが故障し、車は動かなくなってしまう。近くに建物も見当たらず、三人は車内で一晩を過ごすことに。そして翌朝、一台のジープが彼女達の車に接近してきた。ジープを運転していたアンドレはこの砂漠に家を構えており、動かない車を発見して不審に思ったらしい。三人はアンドレに事情を説明すると、ひとまず彼の家で電話を借りることにした。だがそうして着いたアンドレの家では、十数人もの女性が鎖に繋がれて監禁されていた。元サーカス団員を父にもつアンドレは、同じ手口で女性を連れてきてはサーカスの真似事をするために調教していたのである。三人も驚いている間に敢え無く捕まってしまい、一緒に監禁されてしまった…。
ミミビデオ。かのZ級ゲテモノ映画「ミミズ・バーガー」を配給したことで知られるこの会社だが、ここの非常に奥床しい姿勢を本作のビデオでは垣間見ることができる。と言うのも本編が始まる前、「お詫び 原版フィルム上、傷、退色等お見苦しい点があることをお詫びいたします」とテロップされるのだ。普通「お断り」と表記するところを、更に一歩譲歩した「お詫び」としている。これを奥床しいと言わずしてなんと言おうか!
…まあそんなどうでもいい話はともかくとして、本作は「調教」とタイトルに付いている割には裸体描写0、過激な変態描写0という実に大人しい映画だった。何せアンドレが施す調教の内容が、砂漠を延々と歩かせたり、蛇の真似をさせて本物の蛇と絡ませたりする程度で、観ている側に苦痛が伝わってくるような場面が少しも無いのである。またこの際の演出に関しても、牛の血を塗られた女が山猫に追い回される場面で軽快な音楽が流れ、狂気ムードを倍加させているのが良かった点を除けば、ただただ鈍重の一言。これでは違う意味で苦痛に思えてしょうがない。そんな調教シーンがダラダラと続いた後、それまで離れの小屋に閉じ込められていたアンドレの親父がドアをこじ開けて脱走した。水爆実験でフリークスになったこの親父、現在殺人鬼と化しており、監禁されている女性達を狙ってアンドレの家に入っていく。これで少しは盛り上がりを見せるかと思ったら、親父が女達を襲うシーンは一切用意されておらず、ただ親父が通りすぎた後で彼女らが死んでいるカットが映って映画は唐突に終わってしまうのだ。最初から最後まで、何とも締らない映画だった。
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