アンデッド                 「評価 A」
穏やかな田舎町バークレー。ここで生まれ育ったレネは親の借金を払うために農場を奪われ、今別の住居を探すために町を出発しようとしていた。ところが途中の山道で、彼女はゾンビ化した人々に襲われた。つい先程、地球の近くでは隕石同士の衝突が起きており、降り注いだ無数の破片がバークレーの住民をゾンビに変えていたのである。レネは慌てて逃げ出し、森の中に入っていった。更に強酸性の雨が降り始めたかと思えば、草叢の虫達が怪しい光に包まれて空に吸い込まれていく。これらの不思議な現象を目の当たりにし、すっかりパニックに陥ったレネは、森の奥に家屋を見つけるが早いか助けを求めて駆け込んだ。しかしその家には町の中でも変人と噂されている男、マリオンがいたのである。数年前からエイリアンに誘拐されたと言い張っていたマリオンは、住民達がゾンビ化したのはエイリアンの仕業だとレネに告げた。レネはその話こそ信じられなかったものの、大量の銃器で武装しているマリオンのことを頼もしく感じ、続けて家に駆け込んできた若い夫婦や警官たちと一緒に町を脱出しようと決めた。襲いかかってくるゾンビらを払いのけ、町の外へと向かうレネ達。ところがいざ町の端まで来てみると、そこでは巨大な壁が道を塞いでいた。左右を見渡しても同じように壁が続いており、どうやら町全体が壁に囲まれているようだった。最早町から出られないのか。レネ達が絶望しかけたとき、黒い布をまとったエイリアンが姿を現した…。
隕石の影響で誕生するゾンビと言えばお約束のネタだが、本作はこれにクライマックスまで真意不明のエイリアンを絡めることで全く新しいプロットへと昇華させていた。何の脈絡も無いように見える現象の数々が全てちゃんとした意味を備えており、話が進んでいくにつれてそれらがエイリアンの意図と繋がって一つになっていく様は、まさに巧みという他ない。またゾンビとの戦闘シーンでは、超人的ガンアクションを操るマリオンは勿論のこと、レネも円ノコギリが嵌まった棒を振り回してゾンビを八つ裂きにしていったりと、血みどろの活躍を見せてくれる。
演出が悪いのか、時折登場人物が突拍子も無い行動に出ているように見えるのは気になったが、ストーリーの緻密さにおいてはかなりの水準に達しているゾンビ映画であった。

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