悪魔の毒々サーファー      「評価 C」
地震によって荒廃した都市、ロスアンゼルス。何もかもが荒れ果て、無法地帯と化した海岸ではハーケンクロイツを象徴とする地獄のサーファー集団「サーフ・ナチ」が覇権を握っていた。彼らの暴虐を止めようと他のサーファー集団は団結して対抗しようとするが、寺院を根城とする中国拳法軍団「サムライ・サーファー」も陸地をスケボーで走りまわる「アース・サーファー」もサーフ・ナチの圧倒的組織力の前には打つ手がなく、ただひれ伏すのみだった。ところがそんなサーフ・ナチの前に最強の敵が現れる。彼らに息子を殺されたババアが、全身武装して組織のメンバーを次々と片付けていたのである。ババアの手によってサーフ・ナチは壊滅寸前にまで追いこまれ、リーダーのアドルフは海上に逃げて反撃の機会を探ろうとする。だがババアは釣り船をジャックして、彼を追いかけてきた。青い海を真赤に染めて、ババアとアドルフの一大決戦の幕が開く!
トロマ社製作ではあるが「悪魔の毒々モンスター」シリーズとは直接の関係を持たない、言わば「邦題だけ毒々シリーズ」の一つ。地震直後という設定なのに市街地の建物が揃いも揃って無傷の上、ビーチではアベックが平和そうにイチャついていたりと、トロマらしい大味な世界観が相も変わらず炸裂しているものの、登場する各サーファー団体が非常に個性的で(個性的すぎるとも言うが)お馬鹿映画としてはまずまずの出来である。またババアの息子が殺される場面では棺桶を前に悲しむババアと酷い目にあう息子のカットが交互に映されるという斬新な演出も見られるなど、ただの馬鹿映画に終わらせまいとする意欲的な面も見られる。
ところが本作、一応サーファーの映画なのでサーフィンの場面が所々に挿入されるのだが、これがどんなシーンの間にも入ってくるため激しい戦闘シーンの合間に長閑なサーフィンの映像が流れ、緊張感を削がれてしまうのだ。どんなに拘った部分があっても、構成によって脱力な内容にしてしまう。そんな本作は典型的トロマ映画と呼べる映画だった。


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