悪魔の毒々ハイスクール       「評価 A」
近くに原子力発電所が出来てからというもの、トロマビル高校に様々な異変が発生していた。それまで優等生だった連中が突然やりたい放題のパンク集団になったり、生徒の一人が顔中から緑色の液体を流して投身自殺を図ったり…。これらの尋常でない事態を怪しんだ一部の生徒らは、原発の仕業ではないかと噂し始めた。そしてその噂通り、実は近くの原発では廃棄物に対して杜撰な管理が行われており、汚染された廃液が絶えず近所に漏れつづけていたのである。そんなある日、平凡な高校生のカップルは原発の敷地内で栽培されたマリファナ「アトミック・ハイ」を吸ったことで体に異常を来した。男の方は気を失っている間だけ悪を虐殺する毒々ヒーローに変身するという能力を身につけ、また女の方は巨大な精子の形をしたモンスターを生み出してしまったのだ。一方、毒々ヒーローに仲間を惨殺されたパンク集団は復讐のためトロマビル高校を乗っ取り、カップルに対し宣戦布告をする。今、カップルとパンク集団、そして精子モンスターによる三つ巴の乱闘が始まった…!
トロマ社の「悪魔の毒々モンスター」シリーズは日本でそれなりのヒットを生み、以降数年間、トロマ社製作の似た路線の映画はその殆どが「悪魔の毒々〜」という邦題を付けられるようになった。本作はそんな「邦題だけ毒々シリーズ」の記念すべき第一号なのだが、トロマ特有の安っぽい展開を満載していながらもモンスターパニックの定番を押さえている、なかなか楽しい娯楽作に仕上がっていた。
特に本作、精子モンスター「エイリアン2型」が素晴らしい。最初は単なるでかい精子だったのがオタマジャクシがカエルになるような段階を経て成長して行き、最終的には顔と爪が付き、無数のトゲを背中に生やしているという前代未聞の醜悪モンスターに変貌する。そんな奴が尻尾で首を締めたり爪で顔を切り裂いたりしてパンク集団を片付けて行くシーンはこの映画で一番盛りあがるところである。こいつだけでも本作を観る価値は十分あると言っても過言ではないだろう。
ただ、このモンスターの暴れ具合に反して主役のはずの毒々ヒーローは見せ場が極端に少なく(クライマックスで変身しない!)、明らかに不遇な扱いを受けているのは随分と拍子抜けである。一応、強引な展開でその点が上手くカバーされているのが救いとなってはいるが…。

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