アリゲーター 「評価 A」
街角の製薬工場。ここでは新薬の効果を調べるため、ペットショップ店員が街で拾ってきた犬猫を使って動物実験を行っていた。実験によって死骸となった犬猫らは、ペットショップ店員が金を受け取って処分することになっていたのだが、処分を面倒に思っていた店員は死骸の詰まったビニール袋を下水道に投げ捨てるという実に杜撰な方法で始末していたのである。そんなある日のこと、店員はいつものように下水道に降りて死骸を投げ捨てていた。だがその時、彼は下水道の中から出現した巨大ワニに食われてしまった! 十数年前に下水道に捨てられたペットのワニが、薬漬けの犬猫を食べて巨大化したのである。店員を食べて人間の味を覚えたワニは、続けて街の人間に襲いかかった。
下水道のワニ。最早都市伝説の定番となっているこの話を取り扱った本作は、まさしくワニ映画の模範と言える出来であった。
何より本作、伏線の効かせ方が半端じゃない。冒頭のペットとして買われたワニが捨てられるシーンは、単にワニが下水道に住む経緯を説明するためのものかと思わせておいて、実は途中から出てくる登場人物の過去の話だったりする。警察の発表に対する記者の何気ない質問が、その後の話に大きく関わってくる。他にもペットショップでの会話や一瞬しか出番の無いサイコ男など、実に些細な部分に至るまで多種多様な伏線が張り巡らされており、話に深みを持たせているのだ。
またワニも着ぐるみが丁寧に作られているばかりでなく、初めて街中に全体像を現す場面では、着ぐるみと実物を使い分けることで非常に重そうで質感に満ちた動きを見せてくれる。とりわけ映画のクライマックス、尻尾で車をメッタ打ちにして乗っている人間もろとも潰してしまうシーンなんかは本作のワニが持っている重量感が遺憾なく発揮されているところと言えよう。
ワニがその太い体じゃ絶対に通れないようなマンホールの穴を通って地上に出てくるところなど、細かい描写に問題は見られるものの、本作はワニと話の両方で満足することが出来る、秀逸なモンスター映画であった。
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