エアスコーピオン 「評価 D」
抗体の研究材料とするため、何十匹ものサソリの標本がアメリカ行きの旅客機に積みこまれた。ところが飛行中、機体が揺れたせいでサソリを保存していた容器が開いてしまった。標本と言っても仮死状態で保存されていたサソリ達はたちまち復活し、統率する巨大サソリを筆頭として次々と機内の人間に襲いかかっていった。
本作のように生物パニックと航空機パニックとを掛け合わせた作品としては客席を蜂が占拠する「フライング・ヴァイラス」が挙げられるが、「フライング〜」と比べると本作は数段落ちる出来だった。何せ本作の巨大サソリ、全身が映るカットだと全くと言っていいほど動かないのだ。偶に動くと言えばちょっと足が揺れたり糸に吊るされた尻尾が動くくらいで、後は全部カメラを揺らすことで動いているように見せている。この涙ぐましい努力には感動(失笑)を禁じえず、私としてはそれなりの評価を与えたいところだ(おい!)。だが、本作は機内をうろつくサソリの数を無駄に多くしてしまったので退治が完了したのかどうかが非常に不明瞭になり、ラストもこれで終わって良いのかという気分にさせられた。おかげで本作はサソリをそれほど楽しむこともできない上、エアパニック映画の名物とも言える着陸シーンはパイロットが失明したというシチュエーションにも関わらず、話の焦点が客席側で繰り広げられていたサソリとの対決に向けられていたので大して盛り上がることも無かった(しかもサソリと戦っていた女は着陸の際も平然と立ち続けている!)。
このように本作はエアパニックと生物パニックが共に半端な印象で、それほど評価のできる作品では無かったのである。
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