怒れるドラゴン 不死身の四天王 「評価 D」
街のお偉い方と手を結んでいるのをいいことに、好き放題に悪事を働く強盗団。彼らと戦うために、四人の拳法家が立ち上がった…。
「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」と同じジミー・ウォング監督の映画なのだが、多彩なギミックに溢れていた「片腕カンフー〜」と比べると本作は全般的に地味で、観ていて退屈させられるような作品だった。
何より本作、場面ごとの繋がりが非常に複雑で、カンフー映画の売り物である戦いに没頭できない。この映画では二つ三つの場面が同時進行しているのが当たり前なので、少し気を抜くと突然知らない場所で戦闘が始まっており、こちらが状況を把握した時には既に戦闘終了、なんて場面が山とあるのだ。しかもこの構成はクライマックスの決戦シーンにまで及び、敵のボスが「奴らを始末するのは一人で十分」と言っているにも関わらず悪党一味が総出でやってくるものだから、結果として「4人対たくさん」のごちゃごちゃした乱闘となってしまう。さすがにこんな戦いは描き切れないと諦めたのか、次第に主人公と棍棒使いの戦いだけを映すようになり、最後には「気がついたら悪党一味は全員片付いていました」という手抜きな終わり方をしてしまうのだ(ちなみに主人公と棍棒使いはやがて鶏小屋へと戦う舞台を移すのだが、二人の戦いに巻き込まれて無数の鶏が画面狭しと動き回っており、観ている側としてはちっとも戦いに集中できない。まさに乱闘の煩雑さを象徴しているかのようだ)。
だがこんな映画でも、アクの強い敵役は見物である。先の棍棒使いは登場するたびに黒い扇子を取り出し、それを真っ二つに壊してから戦いを始めないと気が済まない(どうやら服の下に同じ物を沢山持っているらしい)。悪党一味の拳法家四人組はいつも深網み笠を被っていて、何故か素顔を明かさない。クライマックスの戦いでいよいよ笠を外したかと思えば、なんと下には黒い覆面を付けていた、というオチで観る者の期待を見事に裏切ってくれる。
彼ら敵役達のインパクトは主人公達四人でさえ霞んでしまうほどであり、この点で「片腕カンフー〜」と同じ匂いを感じさせる映画だった。
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