えびボクサー         「評価 B」
元ボクサーの親父が、海老にボクシングをさせて一儲けしようと考えた。そこで海老を購入した親父はこの企画を取り上げてくれる所は無いかと方々を駆け回るのだが、当然こんな企画を採用してくれる会社など現れず、結局親父とその仲間達は海老の世話にばかり手を焼かされる日々を過ごしていた。ところがそんな日々を過ごして行くうちに、親父は海老への愛情に目覚めて行き…。
海老がボクシングするというプロットだけで十分笑える本作だが、映画本編は海老と親父の友情話が主軸となっており、いまいち馬鹿映画としてのブチ切れ具合に欠ける印象だった。親父が海老の餌の調達や手入れに苦労する姿をこと細かに描写しており、この様子がなかなか良い味を出しているものの、これも結局は大団円への布石となっており、最終的には笑いの要素として楽しむことができないのだ。
ところがこの映画、中盤で海老が食べられることが勝手に決まってしまい商売道具を取られてしまうかと親父が反対するところから、海老への本当の愛に芽生える後半部分までの話の運び方が上手いので、親父が愛情を傾けていたのは所詮我々が日常食べているあの海老だと言うのをつい忘れてしまうである。最初に観終わった時点では親父にすっかり感情移入していたために本作を単なる友情話と思ってしまったが、しばらくした後また考えてみることで、あの映画が如何に馬鹿馬鹿しかったかが改めて分かるような仕組みになっているのだ(そう考えると、上映期間中に海老料理を振る舞うというアルバトロスの宣伝企画も親父の劇中での愛を踏み躙るものと言うより、映画の面白さの再認識を助けるものとして感心させられる)。
そういう意味で本作は、観終わった後に海老料理を食べることで二重に楽しめる映画だった。

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