インハビテッド 「評価 B」
念願のマイホームを購入し、新しい町に引っ越してきた一家。購入した家にはドールハウスが付いており娘はそこで遊ぶ日々を過ごしていた。そんな娘をいつも通りの目で見ていた家族だったが、彼らは気づいていなかった。ドールハウスを根城とし、歴代の家の住人を血祭りにあげてきた豚そっくりの妖精の存在に…。
本作は「ドールズ」のような、小さい人型をした物が集団で襲いかかってくるというシチュエーションのモンスターパニック映画である。ある意味「ザ・チャイルド」にも通じるところのあるこのシチュエーションだが、人型である事を生かして人間達と知能戦を展開させれば二度おいしいというのに、何故だか最近めっきり新作を見かけなくなっていた。
そんな中、久々の新作としてリリースされた本作だが、題材の生かし方を心得ている、なかなかの良作であった。本作の妖精達はとにかく狡猾で、巧みな手段で家の住人を始末する。彼らの手口はこうである。まずその存在を悟られないために家族の中で一番幼い娘の前にしか姿を現さず、彼女を通じて家族を襲うための道具を調達する。娘は幼いので幾ら「妖精がいる」と喋ったところで他の家族たちは信じてくれず、家族がその存在に気づくのは妖精達によって追いこまれてからなのである。この手口で主人公一家を始末するべく暗躍する妖精達と、娘の様子がおかしいと悟り、家のことを調べていく母親との静かな戦いが展開される。この戦いは複線の張り方も上手く、観ていてどんどん引き込まれて行くのだ。
しかしクライマックスの妖精達との戦闘シーンに突入すると、本作は平凡なモンスターパニック映画と化してしまう。それまでの話で密かに強調されていた妖精のキングが聡明さを発揮することもなく、実にありきたりな手段で妖精達は始末され、話は終わってしまうのである。最後の意外なオチで盛り返した感もあるが、クライマックスがいまいちな作品だった。
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