沖縄怪談逆吊り幽霊・支那怪談死棺破り       「評価 B」
日華合作と謳っている本作だが、実際に観てみるとビックリ。なんと本作は全然関係ない2つの話を無理矢理1本に纏めているというトンデモ映画なのだ(ちなみに併映は「米国怪談太陽の怪物」。内容はホラーでも何でもないB級SF映画らしい)。

冒頭、まずは逆吊り幽霊のストーリーが始まる。沖縄で会社を運営する男が病気で倒れた。病床の男は途端に嫉妬深くなり、妻が男の運転手と不倫関係にあるのではと疑う。「そんなことはない」と言う妻だが、男は「女など信用できるものか」と撥ね退けて以前聞いた死棺破りの話を語り始めた…

と、ここで逆吊り幽霊の話は中断され、いきなり「支那怪談死棺破り」がスタートする。

舞台は中国の山奥。一人の男が仙術修行から帰ってくると、彼の帰りを待っていた妻は歓迎し、「私はあなた一人しか愛しません。あなたが死んだら私も死にます」と宣言した。しかし男はその言葉に真実味がないことを悟り、妻の心を試そうと自分の心臓を止めて死んだ振りをする。すると妻は夫が本当に死んだと思いこみ、裏山に夫の死体を埋葬したまではいいが、なんと死のうとしないどころか葬式に訪れた王子に一目惚れし、葬式の次の日にその王子と婚約してしまったのだ。
だが結婚式の日、いきなり発作を起こして倒れる王子。妻は「王子を助けるためには人間の脳みそを食べさせるべきだ」という話を聞き、脳みそを夫の死体から取ろうと裏山に向かった。ところが裏山で彼女を待っていたのは、実は生きていた夫だった。夫は彼女の目の前で仙術によって王子に姿を変えて見せ、今までのが全て芝居だったのを教える。宣言が嘘だったことを責められた妻は発狂し、炎の中に死んでいった…。

これで死棺破りは終わり、再び逆吊り幽霊が始まる。

その後、奇跡的に回復した男だったが、男は彼の信頼を得ようとして目に傷を負い、不気味な容貌になった妻を遠ざけ始め、次第にバーの女に愛情を傾けるようになる。そして妻が邪魔になった男は知り合いに妻を運転手諸共殺害させたのだが、死んだ二人は幽霊になって男達の前に現れる。そこで男は幽霊が現れないようにと、寺の墓地に埋められている妻の死体を掘り起こして足に釘を打ち付けたのだが、妻は逆吊り幽霊になって寺の坊主の前に現れて「釘を抜いてください」と頼みだした。こうして坊主に釘を抜いてもらった妻は再び男達を呪い出し、見事男達を呪い殺すと成仏したのであった。

途中で話を中断して別の話を挿入するという無茶苦茶な構成の本作だが、ちゃんと「支那怪談=女の不倫 沖縄怪談=男の不倫」と対照的な内容になっているのが良い。
その他には特に語ることもない本作。しかし本作はフルカラー初期の作品であり、非現実的なまでのケバケバしい色遣いが物凄く、私に言い知れぬ恐怖を与えてくれた。(バラバラ幽霊のカラーパートは色褪せてセピア調になっていたので大して恐怖は感じなかったが)そんな実に個人的な理由で評価はBだが、全体的な出来としてはバラバラ幽霊の方がまだマシなことを取り敢えず言っておこう。

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