アトミック・ツイスター 「評価 C」
数年前に公開された「ツイスター」は、災害パニックに竜巻という新しいジャンルを定番付けたという点においてB級映画界に非常に大きな影響を与えた映画の1つと呼べるだろう。ただ「ツイスター」自体がモロにB級映画だったのと技術関係の都合で、ブーム当時にそれを真似した映画の数は両手で数えるくらいしか無かった。そして竜巻は地震や火災などと比べると非常にマイナーなジャンルとされて現在に至っているのだが、そんな中で本作は竜巻というジャンルを再び世間に知らしめるが如くリリースされた! だが、話の内容そのものがどうも竜巻というジャンルの行く末を表しているみたいで、本作を観ていると実に複雑な気分になってしまう。
郊外の平原地帯に竜巻が発生した。幸いにも竜巻は市街地と離れていたので住民に被害は無いように思われたのだが、この町の外れには原子力発電所が建っていた。竜巻は発電所を直撃し、冷水ポンプが破裂したので町はメルトダウンの危機に晒される。そこで作業員達は力を合わせて冷水ポンプの修復を始めたのだが、その途中で発電所内の電気が止まったり無線機が吹き飛ばされたりと、次々とトラブルが発生する。しかも竜巻は二つに分裂し、今度は市街地までも襲い始めたのである…。
本作は無難に出来ている人物描写のおかげで、たとえ劇中でツイスター(ルーレットが指示した色に手足を置くというアレです)で遊ぶという下らないシーンがあってもまだ許す気になれる。ところが本作、話の途中から竜巻なんかそっちのけで原発パニックを描いており、最後には「えっ、これって竜巻映画だっけ?」というような印象を受けること確実な内容となっていたのだ。
やはり竜巻というジャンルはこの映画が象徴するように、いずれ他のジャンルに飲みこまれて忘れ去られてしまうのだろうか。B級映画好きとしては心配するばかりだ。
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