オクトパス IN N.Y. 「評価 D」
遂にあのタコ映画に潜水艦パニックの要素を加えた佳作「オクトパス」に続編が出た! と興奮してみたものの、残念なことに本作の舞台はN.Y.。ジェイソンしかり、クロコダイル・ダンディーしかり、地方で活躍するヒーローが都会に出てくる映画というのはどうもヒーローの行動範囲が手持ち無沙汰になってしまいがちで、非常につまらなくなってしまうものである。そこで私もあまり期待せずに本作を観ると……やはり期待をしておかなくて正解な内容であった。
ニックとウォルターは港湾警察の落ちこぼれコンビ。今日も判事を誤認逮捕して毎度の如く署長に怒鳴られていた。そんな2人の次の任務は桟橋で起きたカップル殺人事件の捜査。さっそく目撃者から証言を漁ると、なんと目撃者は「あの二人はタコに殺されたんだ!」と言い出したのだ。それを笑い飛ばすニックとウォルターだったが、目撃者はそれを真実と言い張っていた。そこでニックはタコが人を殺す可能性を調査してみたのだが、そんな彼を周りの同僚は「ニックは頭がおかしくなったのではないか」と疑い出したのである。ところがそんなある晩、捜査のために桟橋近辺を潜水調査していたニックとウォルターは、突如現れた巨大タコに襲われた! そう、目撃者の証言は正しかったのだ! 慌ててタコから逃げようとした2人だったが、僅かに逃げ遅れたウォルターがタコに食べられてしまった。悲鳴をあげるニックをよそに、タコは非情にもウォルターの体を噛み砕いていった…。
こうして、ニックは1人でタコの調査をすることになってしまった。果たして、N.Y.を襲う巨大タコが退治される日はくるのであろうか!?
何故だ…何故こんなにスケールが小さくなってしまったんだぁぁぁっ! 前作は国際諜報組織なども絡んでいて、ただのタコ映画に終わっていない点が良かったのだが、これじゃあまるっきり単なるタコ映画じゃないか! 刑事ドラマと生物パニックを組み合わせるのなんて、それこそ星の数ほど作られているというのにっ!
さて絶叫はこれくらいにするとしても、本作はオクトパスの正規の続編だというのになんとも酷い出来である。やはり予想通りにN.Y.の名所が総ざらいだし、タコが口を開けるカットは前回からの使い回し(しかも本作中で何回も使われる)だし、全体的な出来としてはほとんど駄作に近い。特に、本作のタコはどうも前作のやつと比べると貧弱で情けないのがいただけない。前作のタコが核弾頭まで用いてようやく死んだのに対し、本作のこいつは普通の爆弾がちょっと爆発しただけですぐにお陀仏。とても同じ海で放射能を浴びたタコとは思えないぞ。
そんな本作にも多少感心できる点はあるんだが、それもタコの触手のCGが前作より上手くなっている点や、貿易センタービルが堂々と映っているくせにリリース延期にならなかった点など、ほとんど話と関係ないことだったりするから困る。おまけにラストではタコと全く関係が無い「デイライト」もどきの脱出パニックで無意味に話を盛り上げている有様で、何とも言いがたい。二作目は一作目より劣る傾向が強い上、ヒーローの都会巡りに終始した内容だからつまらなくなるのも無理はないんだが、それでももう少しタコを強くするなどで、映画を面白くすることができたはずである。そんなわけで本作は、駄目な続編の典型とも言える作品だった。
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