アラクニッド 「評価 C」
空軍の戦闘機が空中で謎の爆発をおこし墜落した。ところが空軍は、事故をパイロットの操縦ミスとして簡単に片付け、すぐに墜落機の操縦を打ち切ってしまったのだ。そこで黙っていられないのがパイロットの妹。さっそく彼女は兄の戦闘機が墜落したと思われる島へ生物調査団が行くという話を聞くなり、彼らの航空パイロットに志願したのである。
そして、調査団が島へ向かう日が来た。彼女の運転するセスナで島へと出発する一行。ところがセスナが島の上空に着いた途端、セスナも兄の戦闘機同様に操縦不能となってしまったのだ。彼女は必死の操縦でなんとかセスナを島の海岸に不時着させたものの、調査団の面々は「制御不能になったのはパイロットのせいだ」と決め付け、これでもかという程に彼女を責めつづけたのである。
そんな中、生物の調査が始まった。内骨格をもつ昆虫や体長1メートルの百足など、常識を越えた昆虫達に驚かされる調査団一行。だがその晩、調査団の一人が謎の昆虫に襲われて死んでしまったのだ!そう、この島の昆虫は突然変異をおこした末、人間を襲うようになっていたのである。こうなれば調査団の面々もパイロットを苛めるどころではない。彼らは一致団結し、島の脱出をはかろうとする。ところがそんな彼らへ、人喰い昆虫の親玉である巨大蜘蛛が牙をむいた。果たして彼女は兄と再会できるのか!? そして、彼らは無事に島を脱出できるのであろうか!?
そんなわけで、本作の主役は異常成長した昆虫達だ。彼らの成長の裏には地球にやってきた宇宙人が絡んでおり、主人公兄妹が空中で事故を起こしたのも実は宇宙人のUFOから出された電磁波が原因で…という何ともブッ飛んだ設定が付いている。また登場する昆虫達もなかなかバリエーションに富んでおり、宇宙人の存在について話の途中から全く無視されている点に目を瞑れば、ありがちな内容に陥りがちな本作にそれなりのカラーを付けようという製作者の気構えが感じられるのは評価できる。
ただ本作、内容紹介のところで大方推測が付いていると思うが、人間ドラマが最悪なのである。中盤の執拗なヒロイン苛めから後半で連続される「単独行動→蜘蛛に殺される」パターンまで、人間達の描写に感心できるところがほとんどない。生物パニック映画の主役は確かに暴れ回る生物達なのだが、それと戦う人間達がしっかりしていなければ話も締りのないものになってしまう。そんなことを思い知らせてくれた映画だった。
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