アタック・ザ・マミー 「評価 A」
日本におけるB級エログロ映画配給の大手といったら、まず間違いなく「アルバトロス・フィルム」の名が挙がるだろう。ここの会社が配給するものといったら「八仙飯店之人肉饅頭」やら「キラー・コンドーム」やらと、ほとんどロクなものがない(それでもってたまに「トルネード・エクスプレス」のような比較的マトモな映画も配給するから油断できない)。
そして、そのアルバトロス・フィルムが2001年の夏にトンでも無い事をしでかした! 御存知の方も多いと思うが、幻の映画「クイーン・コング」を日本限定でプレミア上映したのである。映画のパロディについて寛容じゃなかった時代に作られたので、著作権云々で揉めた挙げ句にフィルムが放置されっぱなしだった「クイーン・コング」。これをプレミア上映するんだったら、思いっ切り観客が爆笑できるように手を加えたがるのが配給会社の心というもの。そこでアルバトロスはどんな寒いシーンでも観客の笑いを誘えるようにと、日本語吹き替えの台詞をギャグ満載の内容へと大幅に変えて上映してしまったのだ!もう、オリジナルの台詞がどんなものかなんて誰にも分からない。ただスクリーンに映るのは、馬鹿な台詞を連発するやる気の無い役者達だけである。
さて、それが幸と出たのか不幸と出たのかは、残念ながらプレミア上映会に行けなかった私には分からない。だがその吹き替えがどんな感じのものかは、クイーン・コングより一足早くビデオ・リリースされた本作で味わうことができるのだ。本作も配給はアルバトロス。吹き替えの雰囲気もクイーン・コングの予告編そのものであった。
エジプトで謎の地震が発生し、地下に埋まっていた古代遺跡が姿を現した。そこで古代遺跡のあった土地の領主である男は、なんとそこをミイラを売り物にしたテーマパークとすることにしたのである。さっそく領主はテーマパークの宣伝のためにアメリカから2人のカメラマンを呼び寄せ、古代遺跡の撮影をさせようとした。ところが、その裏では遺跡の開発に激怒した女魔術師の陰謀が蠢いていて…。
といった内容の本作。アクション・シーンはやる気のなさが十分出ているし、素晴らしい程に使い回しの多いシーンが幾つも見られるし、「ハムナプトラ2」の便乗としては(といっても、内容自体はジュラシック・パークのパロディだが)どうも力不足で、もしこのままリリースするとしたら私のようなB級映画好きにしか喜ばれないこと必至である。
だが、先ほど出た「吹き替え」がそんな本作を見事な万人向け馬鹿映画として変えてくれるのだ。この馬鹿吹き替えは本作の至るところに「やる気のないムード」を散りばめており、中途半端な馬鹿映画に明確な一本の筋を通してくれている。
というわけで、少なくとも本作では馬鹿吹き替えが話をより面白くしており、まず成功していると言える。この馬鹿吹き替えを最初に行った「クイーン・コング」では果たしてどうなっているのだろうか? 私の期待は増すばかりである。(というわけで皆さん! 本作はぜひとも日本語吹き替えで観ましょう!)
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