アイスランド                  「評価 D」
国連は南極大陸に巨大刑務所「ニュー・アルカトラズ」を建設し、そこに国家規模の犯罪を侵した人間を収容する…という計画を立案し、さっそく工事が開始された。ところが工事の途中、作業員が掘削機で岩を掘っていると地底に中が空洞になっている不思議な岩を発見した。その岩のことを刑務所の管理者に報告したところ、管理者は「岩ごときで工事を中断するわけにはいかない。」と言って、気にせずに掘り進むようにと指示を出した(このくだり、まんま「人蛇大戦 蛇」を彷彿とさせる)。そして作業員はその岩の表面を掘削機で削り出した。だがその時、岩は大爆発を起こして掘削機を見事に吹っ飛ばしてしまったのだ。岩の空洞には窒素ガスが入っていたのである。
そんなトラブルがあったものの工事は順調に進み、めでたく刑務所は完成。さっそく武器の密輸を行っていたグループを始めとする6人が刑務所に収容されたのだった。しかし見回りをしていた所員の一人が、壁に開けられた謎の大穴を発見する。その穴は刑務所の熱パイプへと通じており、その熱パイプの下には例の岩があったのだ。しかし刑務所長は「ガスの事故だろ」と考えて大穴を塞ぐように所員に指示を出したのであった。
ところがその晩、遂に事件はおこった。穴の中から妙な音が聞こえてくることに気づいた所員の一人が、穴から突如出てきた大蛇によって喰い殺されてしまったのである。なんとあの岩の中には窒素ガスだけでなく、寒くなる前の南極大陸に生息していた大蛇まで入っていたのだ! 窒素ガスは死体を腐らせない…と蛇が生きていた理由を本編中では説明していたが、それでも零下55度の南極で蛇は甦るものなのだろうか? という疑問はさておくとして、蛇は次々と所員を餌食にしていき、瞬く間に3人の所員が蛇の腹の中へと入っていってしまった。
このままではまずいと考えた所長は、爬虫類の研究をしている考古学者夫妻を呼び、軍隊と一緒に刑務所内に巣くう大蛇の退治を行わせた。ところが、助っ人に来た軍隊は最強のアホ集団だったのである! いきなり仲間を誤射しちゃったり、うっかりガス管を撃って爆発を起こしちゃったりして、彼ら軍隊達は退治開始から10分もしないうちに全滅してしまった。しかも軍隊の一人がガス管を爆発させたせいで、その爆発に巻き込まれて所内の武装警備員も同時に全滅してしまう始末。いままでのモンスター・パニック映画の中でも、彼らほど見掛け倒しに終わった連中はそうざらにいない。
そこで残された考古学者と所長は蛇退治を断念し、囚人と協力して刑務所を脱出する事にした。だが先ほどの軍隊同様にこの囚人達もろくでなしの集まりで、瞬く間に次々と蛇に殺されていってしまう…。果たしてこんなので、無事に刑務所を脱出できるのであろうか!?
という内容の本作。数ある密室パニック映画の中でも、やたらと人が死ぬ作品である。この映画では1分に一人ずつといっても過言でないほど、人間がまるで紙屑の如くバタバタと死んでいき(しかも大抵は自滅!)、余韻もクソも無いラストを観た時には非常に悪い後味しか残っていないのだ。
さすがに「パイソン」などと比べれば本作はCG技術が格段に進歩していたりするのだが、退治する人間達の無能さが何よりもの印象に残った映画であった。

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