オデッセイ2001               「評価 C」
時は40億年前。嵐が毎日のように起こっていた頃の地球に、巨大な三角形の物体が落下した。その物体は地表を抉って地中深くに潜りこみ、地球の中で長い眠りについたのであった。そして時は現代。遂に物体が眠りを覚まし、ブータン上空に浮上した。突然のことにブータン人は大慌て。そこでブータン政府はアメリカに物体の調査を依頼し、その要請に応えてアメリカはブータンにキャンプを設けて謎の物体「トーラス」の調査を開始したのである。
だが、それを面白くないと思ったのが中国政府。「ブータンは我が国の陣営だ。アメリカなんかに調査させてたまるか」という強行主義で、彼らの調査を徹底的に妨害することを決めたのだ。
その一方で、そんな事を全く知らない調査団の一行は、トーラス浮上と共に近くにいた死人が蘇ったという証言を聞き、トーラスには未知の力があるということに気づく。しかしそこへ中国政府の軍用機がやってきて、問答無用でトーラスにミサイル爆撃を与えていった! 何としてもアメリカの調査を妨害したい彼らは、なんとトーラスを破壊して新発見を無にしようとしたのである。ところがその時、トーラスはミサイル爆撃を与えていった軍用機へと強烈な雷撃を放った。雷撃を受け、瞬く間に墜落する軍用機。トーラスには意識があったのである。
その事に驚愕しつつも、アメリカは調査を再開した。トーラスの内部へ潜入するための「扉」の謎を解読した彼らは、とうとうトーラス内部へと潜入する。するとその中には、驚くべき真実が記録が隠されていたのだ。トーラスは40億年前、地中に潜りこむと同時に生命を誕生させた。そして長い間地中から、地球上の生物達の行く末を見届けていたというのだ。
しかし、何故トーラスは地上へ浮上したというのか? その謎に悩む調査団の面々だったが、結論はすぐにトーラス自身から知らされた。突然トーラスの上部から巨大な嵐が巻き起こり、地球全土で異常気象が発生したのである。そう、まるで恐竜が絶滅した時のように…! なんとトーラスは数千万年に一度浮上し、地球上の生物の大半を数日で絶滅させてしまうという恐ろしき物体だったのだ!
アメリカや中国は慌ててトーラスを破壊しようとするものの、トーラスの放つ雷撃に阻まれて破壊どころでは無い。果たして、人類はこのまま絶滅してしまうというのか!?
本作は「2001年宇宙の旅」のように、「人類はどこからやってきたのか?」という問題に真剣に取り組んでいる映画である。そして本作ではトーラスという物体が地球上の全ての生物を司っているということにしているのだが、しっかりとしたSF的根拠もつけられておりこの辺りはなかなか良く出来ている。
だが本作、テーマにあったスケール感がしっかり出ているものの、なまじ中国を登場させたためにどうも話の掘り下げが浅くなってしまったように感じられるのだ。しかもラストは「愛が地球を救う」といったようなものなのだが、本作の主人公とヒロインの恋愛は取って付けたような印象を受けてどうもいただけない。
せっかくテーマが良いのだから、本作の製作者にはもう少しテーマそのものにこだわりをもって欲しかったものだ。

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