アベレーション                 「評価 C」
本作の主役は、「進化が異常に早いトカゲ」である。異常なスピードで繁殖し、爬虫類のくせに寒さに強く、おまけに牙から毒液まで噴射するスーパートカゲなんだから、退治する人間の方も大変だ。いくら主人公達が鉄砲や毒スプレーでトカゲを倒しても、卵から孵った二世、三世が次々と誕生してキリが無いし、トカゲの群れは、まるで「ラットマン」の如く神出鬼没。暖炉の中、山小屋の離れ、車の中など、ありとあらゆる場所に出現して人間達に襲いかかってくるのだ。主人公がトカゲに襲われるシーンの中には、人間がゴム人形を振り回してるようにしか見えないカットが所々にあるのだが、この常識外れのスーパートカゲの活躍を観ていると、そういったチャチな点は見逃してやりたくなる。
ただ本作、話の内容は非常に薄っぺらい。詐欺師の相棒をしていた主人公は、ある日、詐欺師稼業から足を洗おう。と決意し、相棒から金を奪った後、故郷の山小屋へと引っ越した。主人公はそこで平穏な暮らしを始めようとしていたのだが、この周辺一帯はすでに、スーパートカゲが数多くいる地獄の山地と化していたのである。スーパートカゲに飼い猫を殺された主人公は怒り、知り合った生物学者と共に、この周辺一帯で繁殖しているスーパートカゲの一掃に乗り出すのだが…といった内容なのだが、生物パニックだけでなく、雪山パニックの要素も入れているため、どうもストーリー描写に力が注がれていないような印象があるのだ。
そんなわけで本作は、スーパートカゲのアイデア一本で押し切った何とも潔い映画である。

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