悪魔のゴミゴミモンスター 「評価 C」
カリフォルニア北部の小さな村、ミルピタス。「数千もの庭」という意味をもつこの村は古くから穀倉地帯として栄えていた。ところが1920年代にゴミ捨て場ができてからというもの、大量のゴミがミルピタスに集まるように。半世紀後にはミルピタスのゴミは溜まりに溜まり、湖の水は腐り魚も棲めなくなっていた。そんな中、ミルピタスで怪事件が相次いで発生。町のゴミ箱が次々消失し、ゴミ収集車が引っくり返り、道路には巨大な足跡が。警察たちはこれらの原因究明に乗り出すが捜査は遅々として進展せず、たまりかねた住民はデモ隊を結成して議場に乗り込んでくるまでになった。いったいこの村で何が起こっているのか。町の鼻つまみ者であるホームレスのジョージは、ある日偶然にも真相を知ってしまう。汚染物質を浴びて巨大化した蠅の化け物、ゴミゴミモンスター。そいつが人知れず街角に現れては、ゴミ箱を漁っていたのだ。やがてゴミゴミモンスターはゴミ漁りに飽き足らず、高校のダンスパーティー会場に乱入。たちまち町はパニックに陥った…。
大陸書房の1980円ビデオシリーズの一本としてリリースされた作品。なんでもミルピタス市民総出で製作された町興し映画らしく冒頭で町の歴史が長々と語られたりするのだが、そんな意図なのに作品の舞台はゴミに汚染されて魚も棲めない最低の環境という斬新すぎる映画だ。主役のゴミゴミモンスターはうっかりレストランの中に指を突っ込んで火傷するなんてデカいナリに似合わずお茶目な一面を披露してくれるものの、画面の暗さと襲撃場面のぶつ切り加減のダブルパンチにより基本的に怪獣としての魅力は乏しい。ゴミゴミモンスターが遊園地に上陸して当然パニックが起こるのかと思えば、次のカットでは誰もいない遊園地が映るだけ…といったように、幾ら予算が無いからといって「そりゃないだろう」と嘆きたくなる場面が目白押しなのである。終盤には女子高生を握り締めて警官隊が包囲する電波塔に上っていくという大先輩キングコングへのリスペクトに溢れた身の程知らず極まりない行動までするから大変だ。対する警官たちも、ゴミより臭いホームレスをヘリで吊るして怪獣を誘き寄せるというホームレスの人権ガン無視な作戦を実行に移す有様で開いた口が塞がらなかった。また役者もミルピタス市民の方々を起用しているので言うまでもなく素人ばかり。味のなくなったガムを延々と噛まされているような、素晴らしく不毛な気持ちにさせられる作品だ。
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